【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

初めて遺言書情報証明書の現物を見て思ったこと

相続税専門税理士の富山です。

今回は、初めて見た遺言書情報証明書について、お話します。


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ブログ記事で取り上げたことはあっても見たことはなかった

先日、数年前に一次相続の相続税の申告をご依頼いただいたお客様から、二次相続の相続税の申告をご依頼いただき、久しぶりにお会いしました。

その時に渡されたのが「遺言書情報証明書」です。

これは、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」により作成された「遺言書の内容の証明書」です。

法務局において自筆の遺言書の原本が保管され、その画像データが保存されているのですが、

上記のとおり遺言書保管ファイルに記録されていることを証明する。
令和○年○月○日
○○地方法務局○○支局
遺言書保管官
○○印

と最後のページに書かれていて、これはこのまま(つまり家庭裁判所の検認を必要とすることなく)相続手続きに利用できるモノということになります。

遺言執行者でもあるお客様にいろいろとお話を聞かせていただき、思ったことがあります。

本人が法務局に行けないと利用できない

この制度のメリットの一つは、「安さ」です。

想う相続税理士

遺言書の保管の申請3,900円
遺言書情報証明書の交付請求1,400円(1通)
です。
上記以外の手続きもあり、それぞれ手数料が定められています。

想う相続税理士秘書

同じように家庭裁判所の検認が不要となる、公証役場で作成する「公正証書遺言」の場合だと、財産の金額(正確には「目的の価額」)が大きくなればなるほど、公証人の方に支払う手数料も高くなります。

ただし、その「安さ」を享受するためには、遺言者(遺言を書く方)ご本人が法務局に足を運ぶ必要があります。

想う相続税理士

介助のための付添人の同伴は可能です。

今回お話を聞いたお客様も、亡くなった方と一緒に法務局に足を運ばれました。

私が今までお世話になったお客様の中には、平日は職場から全く出られない(納税は電子納税でご自宅からやってもらいました)という方や、日中ではなく夜間にお仕事をされているという方がいらっしゃいました。

もし、このような方がこの制度を利用しようとした場合、または、法務局に行くには介助が必要で、お子さんなどに同伴を頼もうと思っても、そのお子さんなどが同伴できないという場合、この制度は使うハードルが高いな、と思いました。

公証役場の公正証書遺言であれば、最後に署名をする時だけ足を運ぶだけでも作成可能ですし、公証人の方に(病院等に)出張していただくことも可能です。

想う相続税理士秘書

金融機関の方がまだ取扱いに慣れていない

私も今回初めて拝見したのですが、今回お話を聞いたお客様が複数の金融機関でこの遺言書情報証明書を提出したところ、地銀等はどこも(私と同じように)「初めて見た」という対応だったようです。

都銀などの大きな金融機関は、相続手続きに関する必要書類リストの中に「遺言書情報証明書」が記載されているし、既に取扱いの経験はありそうだった、とおっしゃっていました。

法定相続情報一覧図も、相続税の申告をメインの仕事にしていると、今でこそかなりよく見るようになりましたが、以前は(できて間もなくでもないのに)金融機関の方に「これじゃなくて、戸籍謄本を出してください」と言われた、なんていうお客様の愚痴を聞いたことがありました。

遺言書情報証明書もそんなことがあるかもしれません。

想う相続税理士

「その遺言の検認が不要=その遺言は有効」というワケではありませんので、ご注意を。