【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

幅員が狭ければ相続税の申告において地積規模の大きな宅地の評価ができる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、地積規模の大きな宅地の評価における容積率の要件について、お話します。


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地積規模の大きな宅地の評価の容積率要件

相続税の申告における土地の評価に、「地積規模の大きな宅地の評価」というモノがあります。

ザックリ言うと、一定の広い面積の土地を評価する場合には、規模格差補正率というモノを適用することで、土地の評価額が下がり、結果として相続税が安くなるのです。

この地積規模の大きな宅地の要件に、

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4609 地積規模の大きな宅地の評価
(注1) 次の(1)から(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
(3) 指定容積率が400パーセント(東京都の特別区においては300パーセント)以上の地域に所在する宅地

というモノがあります。

この「容積率」は、ザックリ言うと「建物の延床面積/敷地面積」で計算されます。

住宅環境を守る等の理由から、「あんまり大きな建物を建てちゃダメ」という規制があり、その一つに建築物の容積率制限があるのです。

容積率が200%に制限されている場合、100㎡の土地には、延床面積150㎡(150%)の建築物は建ててもいいけど、250㎡の建築物はダメ、ということです。

指定容積率と基準容積率

上記のタックスアンサーには、単純に「容積率」ではなく、「指定容積率」と書かれています。

「指定容積率」とは、地方自治体が各地域毎に指定した容積率です。

この指定容積率以外にも容積率があります。

それが「基準容積率」です。

基準容積率とは、その敷地の前面道路の幅員が12m未満の場合に、

  1. その道路の幅員に「4/10」「6/10」「8/10」のいずれかの割合(地域によって異なる)を乗じた数値(を容積率と考える、例えば幅員が9mで「4/10」が適用される地域であれば、9m×4/10=3.6m→360%)
  2. 指定容積率(仮に400%と仮定)
のいずれか低い割合(360%<400% ∴360%)
で計算されます。

国土交通省HP(一部抜粋)
容積率制限(法第52条)
○ 基準容積率については、①都市計画による指定容積率と②前面道路による容積率を比較し、小さい方を採用する。【昭和45年創設】

幅員が狭ければ地積規模の大きな宅地の評価が適用できるということはない

上記のタックスアンサーにあるとおり、評価対象地が、指定容積率が400%以上の地域にあると、地積規模の大きな宅地の評価は適用できません。

実際に建物を建てる際の制限となる容積率は「基準容積率」です。

国土交通省HP(一部抜粋)
<容積率の上限(基準容積率)>
①と②のうち、小さい方が容積率の上限となる。
①都市計画による指定容積率:建築基準法で規定したメニューの中から都市計画で定める。
②前面道路による容積率:前面道路の幅員が12m未満の場合、前面道路の幅員に用途地域による係数(40%又は60%)を乗じて容積率の上限を算出する。

上記の例(「(360%<400% ∴360%)」となった例)で言えば、前面道路の幅員が9m(12m未満)であるため、9m×4/10=3.6m→360%となり、基準容積率が400%未満となった場合でも、地積規模の大きな宅地の評価の適用可否はあくまでも「指定容積率=400%」で400%未満かどうかを判断するため、基準容積率は関係ありません。

想う相続税理士

お詳しい方だと、「税務は実態で判断だ、基準容積率が実際の容積率なんだから、それで判断されるハズ」と考えて間違ってしまう可能性がありますので、ご注意を。