相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産から所得(収入)が生じているが、遺産分割協議がまだ終わっていない状態で、所得税の確定申告の時期を迎えた場合の、相続人の確定申告について、お話します。
亡くなった方の確定申告で申告するのは亡くなった日までの分
相続財産の中に賃貸物件(アパートや貸地など)があったとします。
相続までの期間に対応する賃貸収入については、その亡くなった方の確定申告(準確定申告)において申告することとなり、申告期限は亡くなった日の翌日から4ヶ月以内となっています。
これとは別に、その亡くなった日の翌日からその年の12月31日までの期間に対応する賃貸収入については、相続人の方の確定申告において申告する必要があります。
その賃貸物件を相続する人が決まっていれば、その方が賃貸収入を確定申告することになりますが、遺産分割協議が終わっていない場合には、どうすればいいのでしょうか?
その収入は誰のモノ?
例えば、長男が代表してその賃貸物件を管理しているからといって、その賃貸収入が長男の収入になるワケではありません。
遺産分割協議が成立するまでは、相続人がその法定相続分に応じて申告することとなります(つまり「全員申告」)。
遺産分けが決まったらその人の収入としてやり直す?
確定申告の後に遺産分けが決まって、例えば次男がその賃貸物件を相続することになった場合、その亡くなった日の翌日以後の賃貸収入については、次男のものとして、確定申告をやり直すことになるのでしょうか?
この場合、その遺産分けの効果は、遺産分割が決まらなかった期間の収入の帰属に影響を及ぼすものではありませんので、遺産分けが決まったからといって、さかのぼって申告をやり直すことはできません。
想う相続税理士
遺産分割協議がまとまって初めて、それ以降の家賃が100%その賃貸物件を相続した相続人の方のモノなる、ということです。