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相続税の納税資金を準備するとそれにも相続税がかかる
中小企業の社長が亡くなった場合の相続では、全体の財産に占める会社の株式の割合が大変高くなります。
他人に譲渡できない(譲渡しちゃったら経営権が奪われてしまいますし、経営権に興味がなければ、配当もしない会社の株式なんて誰も欲しがりません)ので、実際には換金できませんが、思った以上に高い評価額が付いたりします。
「相続税が大変だ!」ということで、納税資金としてお金を残そうとすると、その納税資金(という名の現金や預金)も相続財産に変わりありませんので、相続税が課税されます。
相続後に会社に株式を買い取ってもらう
社長が亡くなった後に、後継者が会社の株式を相続します。
その際に、納税資金が足りなければ、株式の一部を会社に買い取ってもらいます。
会社の社名がA社だとすると、A社株式をA社に買い取ってもらうのです。
そして、A社から受け取った買取資金を相続税の納税に充てるのです。
それができるようにしておくために、会社に現金を準備しておきましょう!
「それなら亡くなる前に会社に買い取ってもらおう!」と早まっちゃダメ
「社長が亡くなる前にA社株式をA社に売っちゃって、納税資金を準備してもらっちゃえばいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、気を付けなければならない点があります。
配当部分は高税率!
A社の株主である社長がA社に株式を買い取ってもらい、A社からその株式に基因するお金(売却代金)を受け取る訳ですが、そのお金の中には、理論上、「配当」が含まれる場合があります。
昔、1,000万円で出資したのに、株式の価値が3,000万円になっている(だから3,000万円で売買)とすれば、差額の2,000万円は、会社が儲けを株主である社長に今まで配当してこず、今になって配当した、とみなされます。
「配当」は所得税の計算上、「配当所得」となり、所得税の税率が最高で45%となります。
住民税も含めると、半分以上が税金で持っていかれる可能性があります。
亡くなった後に売却するメリットは?
亡くなった後に売却した場合のメリットは、次の通りです。
理論上の配当を認識しなくて良い
相続人がA社株式を相続し、その後、A社に譲渡した場合、理論上の配当があっても、全体に対しての税率は、20.315%で良いことになっています。
税金を払っても、8割近くが残ります。
相続税が経費になる!
「相続税を払うために株式を売却したんですね。それは大変でしたね。それでは株式の売却に係る所得税を安くしてあげましょう。」という趣旨から、所得税を計算する際、相続税の一部を経費にすることができます。