【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続空き家の特例の適用の難しさについて考える

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続空き家の特例(「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」)について、お話します。


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税理士としては早目に着手したい

先月、相続税の申告書を提出したお客様に、申告書の控等をお送りし、業務が完了しました。

御礼のメールをいただき、その最後に、相続した亡くなった方のご自宅(空き家)が売れたので、確定申告もお願いするつもりです、と書かれていました。

売却の予定がある、とお伺いしていたので、相続空き家の特例のことも既にお伝えしていたのですが、ご依頼いただくのであれば、その特例の適用も考慮して、早目に準備しましょう、とお伝えし、お引き受けしました。

要件を満たしているか早く確認したい、という気持ちもありましたが、早めに進めたいのには他にも理由があります。

申告するのは税務署だけど市区町村役場の確認が必要

土地建物を売却した場合、その儲けには所得税がかかりますので、原則として、税務署に確定申告をする必要があります。

儲けを計算して税務署に申告書を提出するだけなら(まだ)ラクなのですが、この相続空き家の特例の適用を受ける場合には、「売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた『被相続人居住用家屋等確認書』」を申告書に添付する必要があります。

つまり、市区町村役場の確認が入るのです。

その確認書がもらえないと、特例の適用が受けられません。

空き家ということは他に誰も住んでいなかったということ

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

(イ)相続の開始の直前(従前居住用家屋の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

上記は、市区町村役場が確認する項目の1つでしかありませんが、以前ご依頼いただいた申告で、「被相続人(亡くなった方)以外に居住をしていた人がいなかった」ということを市区町村役場に疎明する(確かだろうと思ってもらう)のに大変な労力がかかった、という経験があったため(市区町村役場が確認書の発行を渋る事情があったにはあったのですが、要件はちゃんと満たしていました)、今回は早目に準備しましょう、とお伝えしました。

「他に誰も住んでいなかった」ということを証明(疎明)するのって、よく考えると難しいな、と思った覚えがあります。

想う相続税理士秘書

特例は知らないと受けられない

亡くなった方がお一人で住んでいたご自宅を相続で取得し、でも、みんな持ち家があるからそのご自宅(実家)にはもう誰も住まない、だから売却しよう、というケースは結構あるハズです。

そのようなケースでも、この特例の適用を知らないと、受けられません(受けようと考えることができません)。

知らないので、特例の適用を受けずに申告している場合もあるのではないでしょうか?

想う相続税理士

こちらの記事もご覧ください。
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