【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

土地をマイナス評価すれば借金と同じで相続税が安くなる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、市街地山林の評価方法について、お話します。


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スタートは宅地ベースの金額

「市街地山林」とは、市街化区域にある山林などのことを言います。

財産評価基本通達
45 評価の方式(一部抜粋)
山林の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う。
(1) 純山林及び中間山林 倍率方式
(2) 市街地山林 比準方式又は倍率方式

上記にあるとおり、「比準方式」または「倍率方式」により評価するのですが、通常は「比準方式(宅地比準方式)」により評価することになります。

宅地比準方式は、その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額をベースに計算します。

その上で、実際には宅地ではなく山林なワケですから、山林を宅地にする場合にかかるコスト(宅地化コスト)相当額を、その宅地ベースの評価額からマイナスして計算します。

求めるべき評価額は、山林としての評価額です(これをXとします)。

この山林に、宅地化コストをかけて宅地化すると、宅地になります(この宅地としての評価額をYとします)。

「X+宅地化コスト=Y」ですから、「X=Y-宅地化コスト」となり、宅地ベースの評価額から宅地化コストをマイナスすれば、その山林の評価額が計算できる、という理屈になります。

山林を宅地にするには造成工事が必要

上記の宅地化コストは、「造成工事代」ということになります。

この造成工事代については、「土木会社に見積もりを出してもらうのか?」とお思いになった方もいらっしゃるかもしれませんが、国税庁から発表されている「宅地造成費」の金額を使います。

例えば、令和3年分(栃木県)の「傾斜地の宅地造成費」を見てみると、1㎡当たりで
(傾斜度)3度超5度以下:19,100円・5度超10度以下:23,200円
となっています。

傾斜度が4であれば、1㎡当たり19,100円控除をするワケですから、その山林の面積が100㎡だとすると、19,100円×100㎡=1,910,000円を宅地ベースの評価額から控除することができる、ということになります。

また、これとは別に、「伐採・抜根費」も控除することができます。

宅地造成費の金額を控除するとマイナスになる場合にはマイナスの財産と考える?

宅地ベースの評価額があまり高くなく、宅地造成費の金額を計算したら多額になる場合には、宅地造成費を控除することにより、最終的な評価額がマイナスになってしまう、ということもあります。

このような場合には、市街化区域にあったとしても、宅地化しないで放っておく、というのが経済合理性のある判断ということになります。

つまり、そのまま山林として使うということが妥当だ、ということです。

ですから、このような山林ついては、「純山林」(通常の山林)として評価します。

最も近い山林の1㎡当たりの評価額をベースに、最初から山林として評価する、ということです。

想う相続税理士

山林の評価をする場合には、立木の評価も忘れなく。