相続税専門税理士の富山です。
今回は、毎年、春頃に送られてくる固定資産税の課税明細書に記載されている評価額と、実際の相続税の申告の時の相続税評価額に大きく開きが出る土地について、お話します。
相続税がかかるかどうかの判断基準
相続があった場合、「相続税がかかるかどうか」がまず心配になると思います。
相続税の非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」)は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
全体の財産の金額がこの非課税枠内に収まっていれば、相続税はかからない、ということになります。
財産が預貯金だけであれば、この枠内に収まっているかどうかは簡単に判断することができると思います(定期預金について既経過利息を加味しなければならないなどの注意点はありますが)。
しかし、相続財産に土地がある場合、相続税の申告の際、実際いくらで評価されるのかについては、なかなか見当がつかないのではないでしょうか。
土地の相続税評価額は何を見ればいい?
土地の評価をするためには、まず、毎年春頃送られてくる「固定資産税の課税明細書」を見ていただければ、どのような土地を持っているかが分かります(固定資産税の免税点以下の不動産がある場合など、課税明細書が送られてこない場合があるので注意)。
この課税明細書には、各土地ごとの「評価額」というものが記載されています。
この評価額を元に、相続税の非課税枠を超えるかどうかを判断される方が結構いらっしゃいますが、これがそのまま相続税の評価額になるかというと、そんなことはありません。
その土地が路線価地域にある場合には、その土地の接している道に付された「路線価」を確認することにより、ある程度、評価額の目星を付けることはできます。
この路線価は、1㎡当たりの評価額となりますので、100㎡の土地が2万円の路線価の付された道に接していれば、2万円×100㎡=200万円の土地、ということになります。
倍率地域にある場合には、固定資産税評価額に、その土地の地目ごとに決められた「倍率」を掛けて計算することになります。
「路線価」も「倍率」も、国税庁ホームページで調べることができます。
宅地比準方式の評価に注意
上記の「倍率」が記載されている「倍率表」というものがあるのですが、この「倍率表」で「比準」と書かれている土地に該当する場合、宅地比準方式により評価することになります。
この宅地比準方式で評価すると、固定資産税の課税明細書に記載されている評価額の倍以上になることもあります(「地積規模の大きな宅地の評価」を適用しても、倍以上になったりします)ので、注意が必要です。
想う相続税理士
固定資産税の課税明細書だけを見て「相続税がかからない」と判断してしまい、申告せず、その後、税務署の指摘で相続税がかかることが判明したりすると、無申告加算税などの余計な税金が課税されてしまいますので、ご注意を。