相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の計算において、通称「家なき子」(ザックリ言うとマイホームがない方)が相続で亡くなった方のご自宅敷地を取得した場合の、小規模宅地等の特例(「家なき子特例」)について、お話しつつ、その後の、所得税の計算における「相続空き家の特例」(ザックリ言うと、所得税の確定申告において、相続したご自宅空き家を売却した場合の売却益に3,000万円の特別控除を適用可)について、お話します。
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ご自宅に亡くなった方が配偶者と住んでいた場合
この場合には、特例の適用を受けることはできません。
ご自宅敷地を取得した方が、
相続開始時にご自分が居住している家屋を一度も所有したことがない
相続開始の直前に亡くなった方と同居していた法定相続人の方がいない
家なき子がご自宅を相続で取得した後、相続税の申告期限前に他人に貸してしまった場合
小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等の適用については、同居親族や亡くなった方と生計を一にしていた親族の方が取得した場合、「所有継続要件」「居住継続要件」が課せられます。
つまり、適用を受けるためには、申告期限まで「持ち続ける」「住み続ける」ことが要件となっているのです。
しかし、この家なき子特例の場合には、居住継続要件はありませんので、居住の用に供していたご自宅の敷地を賃貸事業の用に供したとしても、それをもって適用できない、ということにはなりません。
家なき子がご自宅を相続で取得した後、相続税の申告期限後に売却した場合
「所有継続要件」は課せられますので、申告期限までに売却したりした場合には、適用できなくなります。
売却したのが申告期限後であれば、「所有継続要件」の要件を満たします。
亡くなった方のご自宅を売却した場合、一定の要件に該当すれば、「相続空き家の特例」を適用することができます。
家なき子がご自宅を相続で取得した後、相続税の申告期限前にご自宅を取り壊した場合
「所有継続要件」は、ご自宅の敷地に関するモノであり、ご自宅の建物も申告期限まで「持ち続ける」ことは求められていません。
家屋を取り壊した後、ご自宅の敷地のみを売却した場合であっても、一定の要件を満たせば、「相続空き家の特例」を適用することができます。
想う相続税理士
相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがない
相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがない
取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがない
等の要件があるため、相続で取得した後、住んだり、貸したり、家を建てたりすると、要件を満たすことができなくなりますので、ご注意を。