相続税専門税理士の富山です。
今回は、亡くなった方の住所がある市区町村以外に所在する不動産の有無の確認方法について、お話します。
住んでいる市区町村と別のところに不動産があるかも
昔、相続税の税務調査に立ち会った際、亡くなった方の住んでいた市区町村の隣にある市区町村の土地の申告がもれている、と調査官に指摘されたことがありました。
その亡くなった方は、現役時代に不動産業を営んでいらっしゃって、土地の売買をされていました。
見つかった土地は、その当時のいわゆる「棚卸資産」です。
土地を切り売りして残った小さな土地(残地)がそのままになっていたのです。
また、日本税理士会連合会の機関紙である「税理士界」にはコラムのような欄があるのですが、昨年のモノを見ると、相続があったのをきっかけに、そのご一家が墓地を所有していたことが分かったが、何代も前からその登記がされておらず、最終的には何十人もの法定相続人全員に相続放棄をしてもらって名義を変えた、というような経験が書かれていました。
いずれの場合にも、その土地に固定資産税がかからない、というところがポイントです。
一つ目のお話は、通常の土地なので固定資産税がかかるのですが、免税点以下(固定資産税の課税標準額が30万円以下)だったため、固定資産税の課税明細書が家に届かず、相続人の方が知らなかったのです。
二つ目の場合には、墓地は固定資産税が非課税であるため、同様に固定資産税の課税明細書が届かなかった、ということだそうです。
まずは残されている書類をくまなくチェックする!
亡くなった方の身の回りの書類などをご確認いただき、土地に関係するモノがないか、チェックしましょう。
最近は固定資産税を払っていなくても、昔は免税点を超えていて、固定資産税を払っているかもしれません。
そのような場合には、その当時の課税明細書や納付書が残っていたりするはずです。
もし、土地の上に建物が建っているとしたら、水道や電気などの支払いが発生しますので、それらの領収書があるかもしれません。
別荘地のようなところですと、管理費が発生していて、その請求書が送られてくることもあります。
また、貸している土地であれば、その地代が振り込まれていたり、借りている方が現金でお金を持ってきたりするはずです。
固定資産評価証明書ならすべて網羅されている(その市区町村の分だけ)
固定資産税の課税明細書には非課税の不動産が載っていなかったり、免税点以下の場合には、そもそも課税明細書が送られてこなかったりするワケですが、その市区町村役場で固定資産評価証明書を取得すれば、その非課税の不動産についても記載されます。
相続があった場合、亡くなった方がご自宅をお持ちだった場合には、そのお住まいの市区町村役場で固定資産評価証明書を取得されると思います。
ですから、その市区町村の分については、もれは発生しないはずです。
それ以外の市区町村の分については、上記の方法以外で不動産を把握するとすれば、亡くなった方が過去に住んでいらっしゃった市区町村を確認し、または、過去の戸籍(本籍地と住所地は別ですが)を確認し、それぞれの市区町村で不動産を購入したり、または、相続などで不動産を取得したりしていなかったかどうかを親戚の方などに確認したり、場合によっては、市区町村役場に照会する、という方法が考えられます。
想う相続税理士