相続税専門税理士の富山です。
今回は、過去の裁決事例において、居住用の特例を適用した申告書が提出された際に、税務署がどのように「実際に住んでいたかどうか」を確認したか、について、お話します。
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亡くなった方・生計一親族の居住用宅地等に対する相続特例
相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、その中に「特定居住用宅地等」という適用パターンがあります。
これは、亡くなった方、または、亡くなった方と生計を一にする親族の居住の用に供されていた宅地等が対象となります。
夫婦間の居住用不動産またはそれを取得するための金銭の贈与特例
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与をした場合には、贈与税の計算において、一定の要件を満たせば、基礎控除額110万円とは別に、課税価格から最高2,000万円まで控除(配偶者控除)することができる「贈与税の配偶者控除」という特例を使うことができます(贈与税の申告をすることが要件となっています)。
これは、その居住用不動産を居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合、または、その金銭をもって居住用不動産を取得し、これを居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合に適用の対象となります。
実際に住んでいたかどうかはどうやって確認する?
出典:TAINS(J51-1-02)(一部抜粋加工)
平08-04-15裁決
上記の贈与税の配偶者控除に関する裁決では、税務署は次のような観点から居住実態を把握しようとしました。
D社の社員へのFの勤務地や社宅居住、住所変更届等の提出の有無
社宅の借用状況
H銀行t支店に提出された住所変更届の内容
J証券w支店に提出された住所変更届の内容
本件家屋及びQ市の社宅における電気及び水道の各使用量等(K電力株式会社x営業所、L電力株式会社y支店Q支社及びP市水道局、B県水道局から照会回答文書を入手)
近隣の居住者に居住状況を聴取
不動産会社の取締役に本件資産の賃貸状況を聴取
実際の住所とは異なる内容が記載された住民票を添付して重加算税
上記の事例では、
本件資産を譲渡するに当たつて、本件資産を居住していたかのように仮装するために実際の住居とは異なる本件転入届をし、交付を受けた本件住民票を本件申告書に添付することにより、故意に贈与税を免れたものである。
このことは、国税通則法第68条(重加算税)第2項に規定する重加算税の賦課決定処分の要件を満たすことが明らかであり、同条同項の規定に従つて本件賦課決定処分を行つたことは適法である
請求人は本件資産を居住の用に供していないにもかかわらず、申告書に贈与の特例を適用する旨記載し、これに実際の住所とは異なる内容が記載された住民票を添付したものであるから、国税通則法第68条(重加算税)第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装し、その隠ぺいし又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したときに該当する
として重加算税が課税されました。
想う相続税理士