相続税専門税理士の富山です。
今回は、同族会社の株式の真の所有者は誰か、ということについて、お話します。
お金を出した人(買った人)が真の所有者
相続税の税務調査において、亡くなった方名義の財産ではなくても、亡くなった方の財産と認定されてしまう場合があります。
その取得・購入に際し、亡くなった方がお金を出したのに、亡くなった方の名義(名前)にしない場合・なっていない場合があるのです。
相続人の名義になっていれば、相続人のモノになる、と考えるのは間違いです。
相続人の名義になっていても、実質的に亡くなった方のモノであれば、名義財産(株式であれば「名義株式」)として、相続税の課税対象となります。
原則として、財産はお金を出した人(買った人)のモノになるハズです。
お金を出したのは亡くなった方だけど、贈与して相続人のモノになった、というのであれば、贈与税の申告はしてあるでしょうか?
例え、贈与税の申告をしてあったとしても、本当に「贈与が成立」していたのでしょうか?
亡くなった方が管理していたり、相続人がその財産を持っているのを知らなかった、なんて状態だと、贈与が成立していたとはとても言えません。
毎年税務署に別表二を提出しているから大丈夫?
法人税の申告書には、「別表二・同族会社等の判定に関する明細書」というモノ(株主名簿みたいなモノ)があり、会社は毎年提出する申告書の中で、会社の株主が誰かを、税務署に報告しています。
「毎年、株主名簿みたいなモノを税務署に提出していて、それについて何も言われないんだから、税務署がその内容でOKって認めてくれているってことでしょ?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
そういう主張(内容)に基づいた法人税の申告書一式が毎年提出されている、そして、税務署がそれを受け取っている、と言うだけです。
配当金の申告をして税務署から還付金をもらっているから大丈夫?
相続人の方が、同族会社から受け取った配当金を含めて所得税の確定申告をしていて、税務署からその配当金に係る源泉所得税の還付を受けていた場合、「税務署が還付金を振り込んでくれているんだから、その配当金は俺の収入だって認めてくれた、ってことだよね。ということは、その配当金の元となっている株式も俺の財産だって認めてくれた、ってことだよね。」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
法律の決まりに従って、粛々と手続きを進めていただけです。
相続税の申告の際、その取得の経緯等が明らかにされることにより、亡くなった方のモノとされることは、当然起こり得ます。
想う相続税理士