相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税対策としての孫への財産の移転について、お話します。
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相続税の課税タイミングを減らす
一般的な流れですと、親が所有している財産は、何もしなければ(贈与をしなければ)、親→子→孫へと「相続」により移転していきます。
上記の「親」から「孫」の間の矢印の数は2つです。
つまり、税金(相続税)が2回かかる、ということになります。
この場合、「子」を通り越して「親」から「孫」に財産を移転すれば、税金は1回しかかかりません。
この「親」から「孫」への財産移転は、「相続」と「贈与」のどちらでも可能です。
孫が相続で財産を取得すると・・・
孫に財産を「相続」で移転するのであれば、
- 遺言を作成する
- 養子にする
- 生命保険金の受取人にする
こと等が必要となります。
孫は「相続人」ではないため、遺産分割協議で財産を取得することができないからです。
孫が相続で財産を取得するデメリット
孫が相続で財産を取得した場合、孫は、親の「一親等の血族及び配偶者以外の方」に該当するため、相続税が2割増しで計算されます。
これは、養子になっている場合でも同様です。
また、養子縁組していない孫は「相続人」ではないため、親がご自分(親)に掛けていた死亡保険金を受け取っても、非課税枠(死亡保険金の非課税限度額)は適用できないため、子が受け取った場合などに比べてさらに税負担が高くなります。
孫が贈与で財産を取得すると・・・
孫が贈与で財産を取得するメリット
孫に財産を「贈与」で移転する場合、「相続」のような2割加算がありません。
逆に、孫は「直系尊属」に該当するため、18歳以上であれば、「特例税率」という、通常の税率(「一般税率」)よりも低い税率で贈与税が計算することができます。
また、一定の要件を満たした場合、住宅取得等資金や教育資金、結婚・子育て資金の「非課税贈与特例」も適用することができます。
孫は相続時精算課税制度を適用すべき?
来年(令和6年)から、贈与税が改正され、相続時精算課税贈与にも、暦年課税贈与のような基礎控除額110万円が新設されます。
暦年課税贈与だと、その財産をもらった方が、相続で財産を取得した場合、相続開始前3年(~7年)以内の贈与だと、基礎控除額以内の贈与でも、相続税が課税されます。
それに対して、この相続時精算課税贈与に係る110万円の基礎控除額以内の贈与であれば、その財産をもらった方が、相続で財産を取得しても、相続税が課税されません。
実は、この相続時精算課税制度は、孫でも適用できます。
そうすると、孫も相続時精算課税制度を使った方が有利なのか、と思われるかもしれませんが、相続で財産を取得しないのであれば、暦年課税贈与でも精算課税贈与でも、110万円の基礎控除が適用できます。
違いが出る点は、贈与のうち110万円を超える部分です。
基礎控除額110万円を超える部分については、相続時精算課税だと、相続税の課税対象となるため、相続税の税負担で課税を受けることになりますが、暦年課税であれば、贈与額を調整することにより、その相続税の税負担よりも低い税負担で財産を移転(贈与)することが可能となるため、(遺言や生命保険金の受取りなどにより)相続で財産を取得しないのであれば、暦年課税の方が有利になる(有利にできる)傾向があります。
想う相続税理士
しかし、その宅地等を贈与で取得した場合には、小規模宅地等の特例を適用することができません。
これは子や配偶者の場合でも同じですので、ご注意を。