仮想計算により全体の相続税を計算し財産の取得割合で按分する
相続税の総額を計算する
相続税専門税理士㊙カード60【相続税の計算の流れ①】上記の記事でお話したとおり、課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超えると(課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除して金額がプラスになると)、原則として相続税がかかる
超えた金額が「課税遺産総額」である
それでは、相続税をどう計算するのか?
次の手順で、相続税の総額(全体の相続税)を計算する
- 課税遺産総額を、各法定相続人が、各法定相続分に従って分けっこしたモノとみなす
- その分けっこしたモノとみなした金額に対して、相続税の税率を適用し、それを合計する
つまり、課税遺産総額という全体の金額に対して相続税の税率を適用して相続税を計算するのではない
また、遺産に係る基礎控除額を差し引いているので、この課税遺産総額は、実際の正味財産の金額より少なくなっている
それを機械的に(実際に遺産をどう分けたかとは関係なく)、法定相続分で分割する
その分割された金額(分割後の金額)に対して、超過累進税率を適用する
つまり、金額が大きくなればなるほど、税率が高くなり、金額が小さくなればなるほど、税率が低くなる
全体の金額が大きくても、機械的に法定相続分で分割した後の金額が小さくなれば、低い税率が適用される
低い税率が適用された金額を合計すれば、全体の金額が大きくても、相続税が安くなる場合もある
分けて計算するということは、法定相続人の数が多ければ、つまり、頭数が多ければ、分割後の金額も小さくなる
結果的に、適用される税率が下がるので、相続税も安くなる
法定相続人の数が多いと、上記の記事でお話した「遺産に係る基礎控除額」が大きくなることから、課税遺産総額を小さくするため、相続税を安くする効果があるが、それだけではなく、全体の相続税(相続税の総額)を計算する際にも、このような減税効果を発揮する
相続税の総額を財産の取得割合に応じて各相続人等に按分する
上記の「課税遺産総額を、各法定相続人が、各法定相続分に従って分けっこしたモノとみな」して、「その分けっこしたモノとみなした金額に対して、相続税の税率を適用し、それを合計」した金額は、全体の相続税(相続税の総額)である
これを、実際に相続人等の間でどのように負担するか?
取得した財産の多寡(多い少ない)に応じて、財産を多く相続した人は、その分、相続税を多く納め、財産を少なく相続した人は、その分、相続税を少なく納める、という考え方から、相続税の総額を財産の取得割合に応じて、各相続人等に配分(按分)する
相続税の総額が1,000万円で、全体の財産の3割(30%)を相続したのであれば、
1,000万円×30%=300万円
ということである
ただし、この按分後の相続税がそのまま納付すべき相続税になるかというと、そんなことはない(加算や控除がある)