相続税専門税理士の富山です。
今回は、個人事業者の方が亡くなった場合や、相続財産の中に非上場株式がある場合において、相続財産としての工具器具備品、または、非上場株式の評価(純資産価額)の計算における工具器具備品をどのように評価するかについて、お話します。
工具器具備品は一般動産に該当する
財産評価基本通達逐条解説(令和2年版)・一般社団法人大蔵財務協会(一部抜粋加工)
一般動産とは、事業を営む者が所有し事業の用に使用する機械及び装置、器具、工具、備品、車両運搬具や一般家庭用の家具、什器、衣服、非事業用の車両運搬具等がその代表的なものとして挙げられる
上記からもお分かりのとおり、工具器具備品は、財産評価上「一般動産」に該当します。
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財産評価基本通達(一部抜粋)
128 評価単位
ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。
一般動産の評価方法
一般動産は、「原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して(参考にして)評価(財産評価基本通達)」することになっています。
ただし、工具器具備品については、これらが明らかでないことがほとんどだと思われます。
そのような場合には、「その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価(財産評価基本通達)」します。
ザックリ言うと、新品の金額から、「経過年数に応じた償却費(減価償却費)相当額」を控除して評価します。
「経過年数に応じた償却費相当額」の計算上の注意点
個人事業者の方が亡くなった場合の相続財産としての工具器具備品については、相続開始日(死亡日)までで経過年数を計算します。
非上場株式の評価の計算における工具器具備品については、(多くの場合に採用される)「直前期末ベース」で純資産価額を計算する場合には、直前期末までで経過年数を計算します。
「仮決算ベース」の場合には、当然、相続開始日までで経過年数を計算します。
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ということは、通常の税務会計上の減価償却費よりも多くの償却費を控除できる、ということになります。