【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

生前贈与をしても贈与税がかかったら損?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、生前贈与について、お話します。


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生前贈与は相続税対策の王道

相続の時に財産(相続財産)があると、相続税がかかります。

それが嫌な場合、生前に贈与します。

生前に贈与すれば、その分、相続財産が減り、相続税も減る、という考えからです。

贈与税は相続税の補完税

贈与税は、個人から贈与により財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税です。生前に贈与することで相続税の課税を逃れようとする行為を防ぐという意味で、相続税を補完する役割を果たしています。
(出典:財務省「もっと知りたい税のこと」)

「相続税の課税が嫌だから贈与する」という思考プロセスは国にとっくにバレているため、贈与をした場合には贈与税がかかるようになっており、その贈与税の税率は高く設定されています。

だとしたら、生前贈与はやらない方がいいのでしょうか?

贈与税があまりかからないように生前贈与する

相続税も贈与税も超過累進税率です。

財産が多くなればなるほど税率が上がり税額が増えます。

逆に言えば、財産が少なくなればなるほど税率が下がり税額が減ります。

高く税率が設定されている贈与税でも、生前贈与をする金額によっては、相続税よりも低い税負担にすることができます。

遺言であげたい財産を前渡しする感覚で贈与する

相続の時に遺言がないと、相続人間の遺産分割協議により遺産分けをすることになります。

亡くなった方の「こう分けて欲しい」という気持ちは反映されません。

遺言があれば、自分の財産を「こう分けたい」という気持ちを反映させることができます。

しかし、実際に分けるのは相続の時です。

遺言があっても、相続人や受遺者(遺言で財産をもらう方)の全員が同意すれば、遺言と異なる遺産分けになる可能性があります。

遺言があっても、それが執行されなければ、その遺言のとおりにはならないのです。

でも、確実に「こう分けたい」を実現できる方法があります。

それが「生前贈与」です。

必ず渡すことができます。

相続が発生する前に既に渡しているので、相続の時に(特別受益の問題は残りますが)他の相続人にどうこう言われることはありません(というか、言っても既に所有権が移転しているのでどうにもなりません)。

相続時精算課税なら相続税の実効税率で移転できる

「でも生前贈与したら高い贈与税が課税されちゃうんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、相続時精算課税制度を使えば、今年から創設された110万円の基礎控除額を超えた部分についても2,500万円の特別控除額内であれば贈与税が課税されず、課税されても一律20%の税率で、相続時に精算されます。

「相続時に精算される」とはどういうことかというと、相続税が課税されて精算されますので、相続税の税負担で済むのです。

つまり、生前贈与を受けても、相続で財産をもらうのと同じ税負担で済むのです。

想う相続税理士

贈与税の課税方法は、「暦年課税」「相続時精算課税」の2パターンがあります。

それぞれのメリット・デメリットをきちんと把握し、生前贈与をうまく活用しましょう。