相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税贈与の節税効果について、お話します。
相続時精算課税による贈与には原則として節税効果がない
しかし、相続時精算課税による贈与財産は、相続時に相続税の課税対象となる
つまり、贈与しても相続税が課税される
したがって、相続財産を減らして相続税を減らす、という効果は、相続時精算課税贈与にはない
値上がりする財産や収益物件の場合には節税効果がある
つまり、相続の時に5億円に値上がりする財産を、2億円のうちに相続時精算課税贈与しておけば、2億円に対しての相続税で済む
この場合、暦年課税贈与だと、贈与税が跳ね上がるので現実的ではない(贈与税は1億円を超える)
相続時精算課税贈与なら、相続税の実効税率(税負担率)の課税で済む
父が収益物件を持っている場合、その収益(家賃など)は親のモノである
その収益により親の預金口座が増える(つまり、相続財産が増える)
この収益物件を、父から子に生前に贈与すれば、贈与後はその収益(家賃など)が子のモノになる
その結果、親の預金口座は増えない(つまり、相続財産の増加を抑制できる)
暦年課税贈与でも同様の効果があるが、その収益物件の評価額が高いと、上記同様、高額の贈与税が課税されてしまう
新設された基礎控除額には節税効果がある
この基礎控除額内の贈与は、贈与税がかからず、相続税もかからない
つまり、上記でお話した「相続時精算課税による贈与財産は、相続時に相続税の課税対象となる」は、来年からは、「110万円の基礎控除額を除いた分が」が付け加えられる
暦年課税贈与にも年間110万円の基礎控除額があるが、亡くなった方から相続で財産を取得した方が、その亡くなった方から生前に暦年課税贈与を受けていた場合、相続開始前3年以内(~7年以内)のその暦年課税贈与財産は、相続税の課税対象となる(「生前贈与加算」と言う)
相続時精算課税贈与の年間110万円の基礎控除額には、この取扱いはない(相続税の課税対象とはならない)ため、この点は暦年課税贈与より有利である
<注意>暦年課税贈与には戻れない
暦年課税贈与の場合、税率引き下げ効果による相続税の節税が可能だが、相続時精算課税を選択した途端、その権利を放棄することになる
想う相続税理士
つまり、相続時精算課税贈与を受けたら、必ず相続税のことを考えなければならない、ということになりますので、ご注意を。