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【こういうのに注意⑥】相続税の非課税枠は法定相続分で按分できない


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勝手な計算をして相続税は出ないと考えて実は出るというパターン

夫が亡くなり、相続人が妻と長男の2人だとする。

相続財産の金額(相続税の課税価格の合計額)が5,000万円だとする。

相続人が2人の場合、
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
が相続税の非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」)となる。

5,000万円>4,200万円だから、原則として、相続税の申告が必要となる。

この場合、
「相続税の非課税枠4,200万円のうち、その半分つまり1/2(長男の法定相続分は1/2)相当の2,100万円は長男の分ではないか?そうすると、長男が相続する財産の金額が2,000万円だったら、2,100万円以下だから、相続税がかからないのではないか?残りの分(5,000万円△2,000万円=3,000万円)は妻が相続するが、妻は『配偶者の税額軽減』の適用を受けることができ、1億6,000万円までは非課税だから、妻も相続税がかからないのではないか?」
と考える方がいる。

相続税の非課税枠は、法定相続分で按分しない。

したがって、上記のような結果にはならない(妻が非課税なのは正解だが、配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、相続税の申告が必要な点に注意)。

具体的な相続税の計算方法(全体の財産に対する相続税を計算する)

上記の場合の具体的な相続税の計算方法は次のとおりである。

「課税価格の合計額」5,000万円から「遺産に係る基礎控除額」4,200万円を控除した残額800万円を「課税遺産総額」と言う。

ここまでは、全体の合計額で計算する。

そして、この800万円を、法定相続人の方が法定相続分で分けっこしたものとみなす。

つまり、
妻:800万円×1/2=400万円
長男:800万円×1/2=400万円

となる。

そして、この法定相続分に応ずる金額に対して、相続税の税率を適用する。

1,000万円以下の場合には10%なので、

妻:400万円×10%=40万円
長男:400万円×10%=40万円

となり、その合計額40万円+40万円=80万円が、財産全体に対する相続税の金額(「相続税の総額」と言う)となる。

具体的な相続税の計算方法(各人毎の相続税を計算する)

財産全体に対する相続税が計算できたら、後は、それを財産の取得割合に応じて、各相続人等に配分する。

長男の財産の取得割合は40%(=2,000万円/5,000万円)である。

したがって、80万円×40%=32万円が長男の分の算出相続税となる。

具体的な相続税の計算方法(相続税が算出された後の注意点)

相続税にも、所得税の住宅ローン控除のような税額控除がある。

相続税が算出されたとしても、未成年者控除や障害者控除などの税額控除が適用できれば、相続税がかからない場合もある。

具体的な相続税の申告方法(相続税が算出されなかった場合の注意点)

未成年者控除や障害者控除は、(今回の相続を一次相続とすると、その一次相続で)その控除額を全額使い切らなかった場合には、次の相続(二次相続)で適用が可能なケースがあるが、その使い切らなかった金額がいくらかをきちんと証明・疎明できるようにしておかないと、二次相続の相続税が計算できなくなる。

したがって、これらの税額控除により相続税がゼロとなった場合でも、相続税の申告をしておいた方がいい。

一次相続において申告せずに、相続税の申告書の下書きを取っておいたとして、それが二次相続に係る相続税の申告において税務署に信用されるのか(本当に合っているのか)という問題が残ってしまう。

申告書を出しておけば、原則として、このような悩みは生じない。