【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告における税理士の選び方と費用のカラクリ

相続税申告における税理士の費用と選び方

  • 「財産の金額の1%」が相場の目安
  • 1億円なら100万円
  • 「基本料金+財産基準+特別加算」などの算式で求められる
  • 「基本料金」は一律定額
  • 「財産基準」は財産が多ければ金額が高くなる
  • 「特別加算」は評価する土地の数や相続人の数などにより金額が高くなる
  • 誰が負担してもいいが、配偶者が負担すると税務メリットがある
  • 相続人にとっては財産を減らさないための「資産運用費用」
  • 税理士を費用の安さで選ぶのは危険
  • 一生懸命に答えがない相談に乗ってくれる税理士を選ぶ

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相続税申告の税理士費用を支払うのはムダという考え方

「財産が多ければ、相続税がかかるのはしょうがない。」

「でも、相続税の申告書を作るのに、税理士に費用を支払うのはもったいない。」

「税理士にやってもらって、多少相続税が安くなるくらいなら、相続税がちょっと高くなっても、自分でやった方がいい。」

その通りです。

ネットを見れば、「自分で相続税の申告をする方法」とか載っていますし、「相続税の申告書の書き方」というような本も売っています。

申告にお金をかけない、ということは、その分、お金が手元に残る、ということですから、この記事の最後の「資産運用」にも通じます。

是非、自力でやっていただければ、と思います。

とはいえ、「自分でやるのは面倒くさそうだ」「できれば専門家にやって欲しい」という方もいらっしゃると思います。

そういう方は、税理士に依頼しましょう。

財産がいくらになるのか、相続税をいくら納めることになるのか、慣れている税理士に依頼すれば、申告や納税がスムーズにできます

節税対策についても積極的に相談し、アドバイスをもらいましょう。

相続税申告の税理士費用の相場

税理士に相続税申告を依頼した際に支払う費用の相場はどれくらいなのか?

よく言われるのは「財産の金額の1%」です。

想う相続税理士

1億円なら100万円、ということです。

「いくらかかるの?」と聞かれても、どんな財産が、どれだけあるか分からないと、基準があっても、計算できないんです。

そういう時に、この「1%」は、とりあえず明快に言い切った感じがして、こちらもスッキリ。

実際には、それより安くなる場合がほとんどですが、実際にどんな財産があるか分からない、複雑な評価が必要な土地が沢山あるかもしれない、そういうことも考慮して、まあ金額が高くなっても財産金額の1%ぐらいだろう、という感じです。

つまり、財産の内容によって、申告書を作成する時間や手間が異なる訳ですから、一概に「いくら」とは言えないんです。

相続税申告の税理士費用の内訳は?

財産基準(財産が多ければ費用も高くなる)+特別加算(手間がかかる部分の費用)」という料金基準が多いです。

また、基本料金(一律定額)+財産基準特別加算というパターンもあります。当事務所はこれです。

基本料金

感覚的な話なのですが、当事務所では、お客様の不公平感をなくすために基本料金を設定しています。

財産を評価し、申告書や分厚い添付書類を作成して、税務署に提出する、という流れは同じなので、その部分は定額でいただいた方がいいなあ、と考えて、今はそうしています。

財産基準

財産基準を採用するのは、財産が多くなればなるほど、評価に時間と手間がかかり、また、チェック・検討する項目が増えるからです。

財産基準を採用していない(どんな申告でも同じ費用)という税理士事務所は、あまりないです。

あったとしても、財産の金額が一定金額以下じゃないとやらないとか、条件を設定しています。

財産の金額が多くなれはなるほど、金融機関から勧められて色々な金融商品を購入していたり、また、ご自分で勉強されて、財産を減らさないようにと分散投資を心がけていらっしゃったりするので、登場する財産の数は増えます。

財産のほとんどが預貯金だったらラクかというと、これがまたそうではないんです。

生前のお金の動きをチェックする必要があるからです。

ここをちゃんとやっておかないと、税務調査になったり、税務調査でボコボコにやられちゃったりすることになります。

特別加算

特別加算は、相続人の数や、評価する土地の数などに応じた追加費用です。

相続人の数

相続人の方が1人だけならラクです。

遺産分けについて考えなくていい訳ですから。

税務的な検討もそれほど出てきません。

相続人が2人以上いる場合には、誰が相続するかによって、相続税の金額が大幅に変わります

誰が特例の適用を受けた方がいいのか、その「いい」というのは、二次相続まで見据えて判断しなければなりません。

そういった、税務的な有利不利もありますが、加えて、相続人間での調整にも時間がかかります

「勝手に遺産分けをしてください」なんて言えません。

後で後悔していただきたくないし、モメて欲しくないですから、できるだけ分かりやすく、財産の評価額や、特例の内容、二次相続への影響、などをご説明する必要があります。

この辺りは場数です。

「依頼者である相続人が有利になるように話を進めている」なんて他の相続人の方に思われたら遺産分けがうまくいきません。

そういうところにも当然配慮が必要です。

土地の数

また、土地の評価も簡単ではありません。

全く同じ土地は存在しません。

公図を見て、それをどう料理するか、1回1回(1土地1土地)が真剣勝負です。

カメラや巻尺を持参して1人で現地調査する時には、隣の土地に住んでいらっしゃる方の目が気になります(怪しいものじゃありません)。

長靴をお借りして、農地の中に入っていったりします(今度、長靴買っておきます)。

評価している自分が怖くなるくらい、土地の評価額が安くなります(安くなった根拠をしっかり記録に残しておかないと!)。

相続税申告の税理士費用は誰が負担するの?

どなたが負担されても結構ですが、「ご連絡いただいた相続人の方が払ってくださる場合」「配偶者の方が払ってくださる場合」が多いですね。

相続した財産の金額で按分して、相続人全員にご負担いただいたこともあります。

配偶者の方が払えば、その分、二次相続の時の相続財産を減らせる、という考え方もあります。

とはいえ、配偶者の方にも、これからの生活がありますし、また、現預金をお持ちでないとお支払いいただけませんから、柔軟にご検討いただいていいと思います。

そういうことも気軽に相談できる税理士がいいですね。

費用だけで相続税申告を依頼する税理士を決める選び方について

税理士の選び方が分からないと、費用の金額で選ぶことになります。

それが一番損しない(出費が少ない)方法に思えるからです。

ところが、税理士に費用を支払うのは、スーパーで物を買うのとは訳が違います

相続税が0円の申告であれば大丈夫?

税理士に、「お客さん、財産は結構ありましたが、相続税が0円になりましたよ!」と言われたら、無条件に喜んでいいのでしょうか?

実は、全財産を配偶者が相続すれば、相続税が0円になることは良くあります。

配偶者には、特別非課税枠(最低でも財産の金額で1億6,000万円まで!)を使える特例があるためです。

ところが、配偶者が全財産を相続し、その後、その配偶者がお亡くなりになった時(二次相続の時)が問題なのです。

二次相続は一次相続に比べて、格段に相続税がかかりやすく(高くなりやすく)なります。

相続税は「超過累進税率」(財産が多ければ多いほど税率が高くなる)なので、二次相続における全体の財産の金額が高くならないように、一次相続では子供に財産を「逃がす」方法が有効です。

全財産を配偶者に相続させ、子供に財産を「逃がさない」遺産分けは、トータルでの相続税を高くするのです。

一生懸命に答えがない相談に乗ってくれるか

とはいえ、配偶者に認められている特別非課税枠は、夫婦で力を合わせて財産を築き上げてきた特典です。

せっかくだから使っていただきたい。

でも、配偶者が全部相続すると、後が大変。

では、配偶者が全部を相続しないのなら、二次相続も見据え、また、配偶者の今後の必要なお金も検討しながら、どれくらいの相続、税負担で「よし」とするか。

また、二次相続の前に、非課税贈与の特例を使ったりしながら財産を減らし、相続税を減らすことができないか検討する。

そのような色々なことを相談できる税理士を選べば、納得感のある遺産分け、相続税申告ができます。

そのような絶対的な正解がない相談に乗るためには、税理士にも経験が必要です。

そして、その節税効果、財産を減らさない効果(資産運用効果)に比べれば、その費用は安いはずです。

相続税申告の税理士費用は資産運用費用である

生きている間に、どれだけ財産を増やせるか、それも大切な資産運用ですが、亡くなった後に、今度はその相続人が、その財産をいかにうまく引き継ぐかが、もっと重要です。

亡くなった方がうまく財産を増やしても、相続を機に相続人がそれを減らしてしまったら、亡くなった方も浮かばれない。

「財産の承継」、そして「相続税の申告」を相続人の「資産運用」という視点で考えれば、税理士費用は、それらをうまく乗り越えるために必要な「資産運用費用」です。

相続税の税理士費用が高いか、安いかは、その運用成果に対して見るべきです。