相続税専門税理士の富山です。
今回は、タンス預金について、お話します。
タンス預金とは?
タンス預金とは、家のタンスに預金している、つまり金融機関に預けていない、現金として持っているお金のことです。
比較的大きな金額の場合にそう呼ぶことが多いです。
タンス預金は申告しなくてもいい?
手元の現金は申告しなくてもいいのかというと、そんなことはありません。
当然、現金も立派な財産です。
その家に現金がどれくらいあるのか(あるべきなのか)というのは、税務署にはある程度、簡単に分かってしまいます。
天からお金は降ってきません。
そのお金はどこかから来たワケです。
稼いだり、もらったりして、手元に現金があるワケです。
その稼いだりもらったりする際の相手側がいる、ということを忘れてはいけません。
税務署には既に蓄積された情報があります。
「令和元事務年度における相続税の調査等の状況」(令和2年12月国税庁)の、「相続税の調査事績」のところを見ると、実地調査件数に占める申告漏れ等の非違割合(申告もれが見つかった割合)は、平成30事務年度が85.7%、令和元事務年度が85.3%となっています。
つまり、税務調査が入った場合には、8~9割の確率で申告もれが見つかる、ということです。
「無申告事案に対する実地調査の状況」のところを見ると、同じく非違割合は、平成30事務年度で89.3%、令和元事務年度で85.5%となっています。
1件当たりの申告漏れ課税価格は、平成30事務年度が8,320万円、令和元事務年度が8,414万円となっており、追徴税額はそれぞれ、731万円・897万円となっています。
「税務署には財産の内容なんて分からない」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、この数字を見れば、税務署が「ここの家は相続税の申告書が出ていないけれども、相続税がかかるはずだ」と睨めば、8~9割の確率でそれを見つけることができ、平均で700万円~900万円の追徴税額が発生している、ということが分かります。
ちなみに、この「1件当たり」は、申告漏れがなかった件数も含んでいるので、申告漏れが見つかった件数で割ると、金額はもっと大きくなるはずです。
バレ元で隠すのはダメ
隠蔽(隠すこと)は重加算税の対象となります。
申告していなかったことがバレた場合、本来払うべき相続税とちょっとばかりの罰金の税金を払って終わり、というレベルでは済まないことがあります。
想う相続税理士