どうやったら社長になれるの?
会社で一番エライのは、社長(代表取締役)です。
会社の経営陣のトップだからです。
ということは、現社長が子供に会社を相続させる場合、子供を次の社長にしなければならない、ということです。
社長になるにはどうすればいいかというと、取締役会が設置されている会社の場合、取締役会により、その取締役会の構成員である取締役の中から選ばれます。
取締役会が設置されてない会社の場合、定款や株主総会の決議により、取締役の中から選ばれます。
では、その取締役になるにはどうすればいいかというと、株主総会の普通決議により選ばれます。
この普通決議は、発行済株式総数の過半数を所有している株主が出席し、その議決権の過半数の賛成が必要となる決議です。
つまり、会社の株式の所有割合が高ければ、自分が社長になることもできるし、誰かを社長にすることもできる、ということになります。
会社の株式をどうやって引き継がせればいい?
現社長が、自分が引退したり亡くなったりした後、子供の社長の座を守ってあげるためには、自分が持っている株式を子供にきちんと引き継がせてあげることが必要だ、ということです。
そうしないと、子供が社長になれたとしても、途中で他の大株主に失脚させられる可能性があるのです。
現社長が次期社長となる子供に株式を渡す方法としては、「相続」「贈与」「譲渡」が考えられます。
相続・贈与の場合には、子供に相続税・贈与税がかかります。
譲渡の場合には、子供に税金はかかりません。
かかるとすれば、現社長に譲渡所得(株式を売ったことによる儲け)が発生しますので、所得税がかかります。
では、子供には税金がかからないから楽勝かというと、そんなことはなく、子供はその株式の購入代金を用意しなければなりません。
どのパターンでも、子供にお金が必要になる、ということです。
一般的には、相続による税コスト(相続税)が一番安く済みます。
ただし、相続はいつ起きるか分かりません(時期を選べません)。
その相続の時には会社の業績が伸びて、今よりも株価が高くなっている(その結果として相続税も高くなる)かもしれません。
また、相続の当事者として、次期社長以外の他の相続人も登場するため、現社長・次期社長の意向どおりに事が進まない可能性があります。
遺産分けの問題を解決するために、お金(代償分割金等)が必要になる場合もあります。
それに対して、贈与は時期を選べます。
株価が低くなっている時に贈与すれば、通常に比べて贈与税が安く済みます。
現社長・次期社長に贈与・受贈の意思があれば、成立します。
とはいえ、贈与税は、相続税の租税回避防止的な位置付けのモノであるため、相続税に比べて税負担が高くなっています。
子供の財布が痛まないようにと、安い金額で株式を譲渡するのは危険です。
安く変えた分の儲けは、子供に対する贈与税の課税につながります。
コストを見積り、キャッシュを用意する!
会社の株価が高くなければ、それぞれのコストも下がります。
ですから、まずは会社の株式を評価してみて、それぞれのコストを計算してみましょう。
その上で、次期社長にそのコストが負担できるだけのお金を持たせることを考えます。
会社の役員報酬を上げたり、相続の際に生命保険金を受け取れるようにするのです。
また、遺産分けのリスク度合いも検討しましょう。
財産の内訳や構成割合により、リスクは変動します。
想う相続税理士
同業の経営者の仲間が「事業承継なんて簡単だったよ」と言っていたとしても、それを鵜呑みにすると危険ですので、ご注意を。