相続税専門税理士の富山です。
今回は、失敗しないようにいろいろ準備するのも大事ですが、やってしまえば結構簡単に終わることもある、ということについて、お話します。
不確定要素があると財産評価が前に進まない
相続税の申告では、まず最初に、相続財産の評価をしなければなりません。
財産評価の中で面倒くさいのは、非上場株式もそうですが、特に面倒くさいのは、やはり土地です。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
「路線価だと図面を引いて評価する必要があるけど、倍率だったら倍率を掛けるだけだからラクなんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
倍率方式で使用する倍率は、「地域」によって、分かれていることがあります。
(2)上記以外の地域
このような感じです。
その評価対象地が「国道A号線沿」または「町道B号線(旧国道A号線)沿」にあるかどうかが分からないと、評価が進められないのです。
今までの相続では、上記のA号線とかB号線をネットで調べれば分かったのですが、今ご依頼いただいているあるお客様の相続については、いくら調べても分からず、「もうこりゃ役場の専門の課で教えてもらうしかないな」と思い、今日の午後、他のお客様のところに行って依頼のあった財産評価・試算の内容をご説明した後、役場に向かいました。
もう夕方なので、上記の地域の確認だけできればいいな、と考えて。
お願いすれば教えていただける、躊躇せずに確認する
建設環境課に行くと、何人かの職員の方が出てきてくださり、当初、「小字(こあざ)で判断すると、ここは違う」とかいろいろ話し合ってくださっていたのですが、「全部ちゃんと調べましょう」と言ってくださったので、結構な筆数があったのですが、調べていただくことにしました。
そこで、待っている時間に、もし、時間があったら農用地証明も取ってしまおう、と考えていたので、農業振興課へ。
評価証明書のコピーも2部用意しておいたので、1部は建設環境課に置いていっても大丈夫。
農用地(青地・白地)については、確認申出書に1つ1つ書けばその場で回答がもらえる、とのことなので、こちらも筆数が多いために2枚に渡ってしまいましたが、記入して提出。
建設環境課に行くと、回答を教えていただき、自分の予想どおりで納得。
台本がなかったけど何とかなった
「ん?まだ5時まで時間があるな」と思ったので、税務課に行き、1㎡当たりの近傍山林の評価額を確認。
全地域この金額でやっている、という金額を教えていただく。
「ん?まだ全然時間があるぞ!」と思ったので、都市計画法第34条の件も聞いてしまおう、と考え、都市計画課へ。
地積規模の大きな宅地の評価が適用できるかどうかですね。
これは聞き方(質問の仕方)が難しいので、いつもは質問する言葉をちゃんと書いて(台本を作成して)間違えないように確認するようにしているのですが、今回はぶっつけ本番。
前もって町のホームページは読み込んでいたので、その話もしながら、適用の可否を確認していく。
間違いなく適用が受けられない、ということが判明。
農業振興課に行き、回答書をいただく。
大して準備もしていかなかったのに、土地を評価するため役所調査で必要な点は全部判明(他にも既に県などに確認済の項目もありますが)。
この間30分。
自分でも信じられませんでしたが、あっという間に知りたいことが全部分かってしまいました。
もちろん、役場の職員の方の対応が迅速で素晴らしかったおかげなのですが、頭で確認すべきこと、聞くべきことが分かっているのであれば、万全の準備をしなくてもいいのかも、と思いました。
想う相続税理士