相続税専門税理士の富山です。
今回は、意外と知られていない、従業員数によって非上場会社(同族会社)の株式の評価額が変動する、ということについて、お話します。
同じ非上場会社の株式でも株主によって株価が変わる
非上場会社の株式は、その株式を所有する方が「①同族株主」なのか、それとも「②少数株主」なのかによって、相続税の申告をする場合における評価方法が大きく異なります。
「①同族株主」がその株式を所有する目的は「会社の経営権の維持」であり、「②少数株主」の場合には「配当の取得」であると考えられるからです。
その株式の評価においては、「①同族株主」については「原則的評価方式」、「②少数株主」については「特例的評価方式」が適用されます。
従業員数は会社の大きさを表す一要素
この「原則的評価方式」により評価する場合、「直前期末以前1年間における従業員数」が、その会社の規模を判定する際の材料になります。
非上場会社の株式は、ザックリ言うと、「A類似業種比準価額」と「B純資産価額」を混ぜ合わせて計算します。
AとBを何対何で混ぜ合わせるかは、その会社の規模により変わります。
規模が大きい会社の場合、上場企業に近い、と言えますので、上場会社の株価等を基に計算する「A類似業種比準価額」の割合が大きくなるように、規模が小さい会社の場合、その会社の経営力というよりは、財産的な価値、つまり、仮に解散した場合にお金がいくら残るのか、という会社の清算価値を基に計算する「B純資産価額」の割合が大きくなるように混ぜ合わせます。
金額や人数に応じた「大会社」「中会社」「小会社」の区分がある
規模が大きい会社のことを「大会社」、規模が小さい会社のことを「小会社」、その中間の大きさの会社を「中会社」と言います。
「直前期末以前1年間における従業員数」が70人以上の場合には、「大会社」に該当します。
70人未満の場合には、その会社の
- 純資産価額(帳簿価額)
- 従業員数
- 取引金額
まず【STEP1】として、純資産価額(帳簿価額)と従業員数を比較、その後、取引金額と比較します。
例えば、卸売業で、①総資産価額が25億円、②従業員数が25人、③取引金額が1億円の場合、総資産的には「大会社」で、従業員的には「中会社」、取引金額的には「小会社」になります。
想う相続税理士秘書
この場合、まず、①②のいずれか下位を選択しますので、(この時点では)「中会社」になります。
次に【STEP2】として、その「中会社」と③の「小会社」のいずれか上位を選択しますので、(最終的に)「中会社」になります。
想う相続税理士