相続税専門税理士の富山です。
今回は、特別寄与料の相続税における取扱いについて、お話します。
特別寄与って何?
特別寄与料の「特別(の)寄与」とは、ザックリ言うと、「亡くなった方に対する特別な貢献(役に立つことをすること)」です。
民法には、次のように書かれています。
民法(一部抜粋)
第十章 特別の寄与
第千五十条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
上記にあるとおり、特別寄与者は、相続人に対して、その寄与の度合いに応じた特別寄与料を請求することができます。
特別寄与料は相続財産になりますので、特別寄与者には、相続税の納税義務が生じます。
特別寄与料を支払った相続人は、その特別寄与料の分だけ財産が減るため、相続税も安くなります。
特別寄与料はどう決まる?
特別寄与料は、特別寄与者と相続人との間の協議(話し合い)で決めます。
この「協議」は、遺産分割協議とは違います。
特別寄与者は相続人ではないため、遺産分割協議には参加できません。
その協議がまとまらなければ、「特別の寄与に関する処分調停の申立書」を家庭裁判所に提出します。
つまり、家庭裁判所に決めてもらうことになります。
民法には、次のように書かれています。
民法(一部抜粋)
第十章 特別の寄与
第千五十条
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。
3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
特別寄与料の額が確定した場合の税務手続きの期限に注意!
特別寄与者の相続税の申告期限は、特別寄与料の額が確定したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
それに対して、相続人の更正の請求期限は、特別寄与料の額が確定したことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。
期限が異なりますので、ご注意を。
想う相続税理士
その場合、特別寄与者の相続税の申告期限は、そのかなり時間が経った後の時点からさらに10ヶ月以内となります。