相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税贈与により取得した財産を相続開始前に売却した場合の取扱いについて、お話します。
相続時精算課税贈与財産は相続税の課税対象
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4103 相続時精算課税の選択
概要
特定贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税適用財産の贈与時の価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、その相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)を加算して相続税額を計算します。
上記にあるとおり、相続時精算課税贈与財産は、その贈与者(特定贈与者)が亡くなった場合における相続税の申告において、相続税の課税対象になります。
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特定贈与者が亡くなる前に売却したらどうなる?
父Aさんから長男Bさんが(令和5年以前に)相続時精算課税贈与により土地Cの贈与を受けたとします。
長男Bさんは、父Aさんが亡くなる前に、その土地Cを売却したとします。
この場合でも(父Aさんの相続の時に土地Cを長男Bさんが所有していなくても)、その土地Cは相続税の課税対象になります。
売却した財産はいくらで相続税の課税対象になる?
父Aさんが長男Bさんに土地Cを贈与した時、土地Cの相続税評価額が1,000万円だったとします。
長男Bさんが土地Cを売却した時、土地Cの相続税評価額は2,000万円で、売却金額が2,500万円だったとします。
父Aさんが亡くなった場合、この土地Cはいくらの財産として相続税の課税対象になるのでしょうか?
売却した場合でも、売却しない場合でも、贈与時の相続税評価額1,000万円に対して相続税が計算されます。
逆に、売却した時の相続税評価額が400万円で、売却金額が500万円というように、贈与時の相続税評価額より値下がりした場合でも、贈与時の相続税評価額1,000万円に対して相続税が計算されます。
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