【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

間違って不利な選択をしてしまったら申告しなおせば小規模宅地等の特例はやり直せる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、小規模宅地等の特例のやり直し申告の可否について、お話します。


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相続税の申告における小規模宅地等の特例とは?

相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、大きくは「(1)特定事業用宅地等」「(2)特定同族会社事業用宅地等」「(3)特定居住用宅地等」「(4)貸付事業用宅地等」の4つの適用パターンがあります。

小規模宅地等の特例は、最終的に適用できる面積の合計額に限度が設けられています。

したがって、複数の特例対象宅地等がある場合、例えば、A宅地にもB宅地にも小規模宅地等の特例を適用できる、という場合には、A宅地に適用するのか(B宅地には適用しないのか)、B宅地に適用するのか(A宅地には適用しないのか)、または、面積の関係でどちらも適用を受けられるケースでは、面積的にどちらに多く適用するのか、等を検討する必要があります。

また、その検討の際、より相続税が安くなるようにしたい場合には、その各土地の単価も加味しなければなりません。

損な選択をしたことに気付いた場合にはやり直すことができる?

A宅地について小規模宅地等の特例を適用して相続税の申告をしたものの、よくよく考えたら、B宅地に適用した方がよかった(相続税が安くなった)、ということに気付いた場合、A宅地を適用対象から除外し、B宅地に適用して、申告をやり直すことはできるのでしょうか?

出典:TAINS(相続事例大阪局R050000)(一部抜粋加工)
誤りやすい事例(相続税関係 令和5年版) 大阪国税局資産課税課
(選択特例対象宅地等の変更の可否)
【誤った取扱い】
25 甲は、A宅地を選択特例対象宅地等として相続税の申告を行った。
その後、申告内容を見直したところ、申告漏れ財産があることが判明するとともに、B宅地を選択特例対象宅地等とした方が有利であることが分かったため、修正申告の際に、A宅地に替えてB宅地を小規模宅地等の特例の対象とした。
【正しい取扱い】
25 当初申告において、A宅地について適法に小規模宅地等の特例を適用した場合には、B宅地を特例の対象として選択替えをすることはできない。
なお、同特例は、修正申告書にこの特例の適用を受けようとする旨を記載し、所定の書類の添付がある場合にも適用するとされているが(措法69の4⑦)、これは、未分割であった等、当初申告において同特例の適用を受けていなかった場合又は法令に定める要件を欠く誤った選択をしていたこととなった場合に関する規定であり、修正申告における特例対象宅地等の選択替えを認めるものではない。

A宅地が小規模宅地等の特例を適用できる土地で、その土地を選択して小規模宅地等の特例を適用し、相続税の申告をした場合、「やっぱりB宅地で」ということは認められません。

想う相続税理士

1つ1つの土地について、小規模宅地等の特例の適用対象になり得るか、きちんと確認しましょう。