【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

保険料負担者・被保険者・保険金受取人が同時に死亡した場合の生命保険金の取扱い

相続税専門税理士の富山です。

今回は、生命保険契約に係る保険料負担者(保険契約者)・被保険者・保険金受取人が同時に死亡した場合の取扱いに係る資産税関係質疑応答事例集について、お話します。

出典:TAINS(相続事例707391)(一部抜粋加工)
質疑応答事例7391 相続税関係(みなし相続財産)
20 同時死亡の場合の生命保険金の課税関係
国税庁課税部 審理室・資産課税課・資産評価企画官
(平成13年3月作成)
「資産税関係質疑応答事例集」


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夫婦が同時に亡くなった場合の「夫が自分に」「夫が妻に」掛けていた生命保険の取扱い

下記の前提でお話します。

  1. 夫と妻が同時に亡くなった
  2. 夫と妻の間に子供はいない
  3. 夫と妻の両親はそれぞれご健在である

次の2つの生命保険契約がありました。

生命保険契約A

契約者(保険料負担者) 被保険者 保険金受取人

生命保険契約B

契約者(保険料負担者) 被保険者 保険金受取人

生命保険契約Aの取扱い

夫が妻に保険を掛け、夫が死亡保険金を受け取った場合、夫の所得(一時所得)となりますが、保険金受取人である夫が亡くなっているため、夫の両親が死亡保険金を取得します。

夫と妻の間に子供がいないため、夫の両親が夫の相続人になるためです。

通常、下記が適用されるモノとして取扱われます。

想う相続税理士秘書

保険法(一部抜粋)
(保険金受取人の死亡)
第四十六条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。

そうすると、夫の払い込んだ保険料で、夫の両親が、妻の死亡に係る死亡保険金を受け取る(夫の両親は妻の相続人ではない)、ということになるため、夫から夫の両親に贈与があったモノとして、贈与税の課税対象になる、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

この点については、

昭和57年5月17日直資2-178(事務運営指針)の2「保険料負担者と被保険者が同時に死亡した場合について」

の取扱いを適用し、相続税の課税対象(相続により取得したモノ)とすることができます。

生命保険契約Bの取扱い

夫が自分に保険を掛け、妻が死亡保険金を受け取った場合、夫の相続に係る相続税の課税対象となりますが、保険金受取人である妻が亡くなっているため、妻の両親が死亡保険金を取得します。

上記同様、夫と妻の間に子供がいないため、妻の両親が妻の相続人になるためです。

そうすると、夫の払い込んだ保険料で、妻の両親が、夫の死亡に係る死亡保険金を受け取る(妻の両親は夫の相続人ではない)、ということになるため、夫から妻の両親に贈与があったモノとして、贈与税の課税対象になる、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

この点については、

昭和57年5月17日直資2-178「相続税法基本通達の一部改正に伴う相続税関係事務の運営について」(事務運営指針)

の取扱いを適用し、相続税の課税対象(遺贈により取得したモノ)とすることができます。

想う相続税理士

生命保険契約Aについて、贈与税の課税対象とお考えになっても、夫の両親が夫の相続で財産を取得した場合には、その死亡保険金は生前贈与加算の対象(相続開始年分の贈与)となり、最終的には相続税の課税対象となりますので、差異は生じないモノと思われます。