【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

親族が事故や災害に巻き込まれて一緒に亡くなった場合の相続人は誰になる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「同時死亡の推定」について、お話します。


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亡くなった順番が分からなければ同時に亡くなったと考える

民法(一部抜粋加工)
第六節 同時死亡の推定
第三十二条の二 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する

事故や災害により複数人の親族の方が亡くなった場合、どちらが先に亡くなったかにより、相続や相続税申告の内容が変わるのですが、その順番が分からない場合には、同時に亡くなったものと考えます。

亡くなった方の代わりに子が相続する

民法(一部抜粋加工)
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

父Aさん-子Bさん-孫Cさん
という親族がいらっしゃったとします。

父Aさんと子Bさんが事故等で亡くなり、同時に死亡したと推定されたとします。

この場合、子Bさんは、父Aさんの「子」ですので、父Aさんの相続人です。

父Aさんの財産を相続する権利があるのですが、亡くなっています。

この場合、以前死亡となり、子Bさんの代わりに孫Cさんが相続人となります。

(同時死亡ではなく)「父Aさんが亡くなり、その財産を子Bさんが相続し、次に、子Bさんが亡くなり、その財産を孫Cさんが相続した」という場合、父Aさんの財産に2回相続税が課税されることになりますが、父Aさんの死亡以前に(死亡前ではなく死亡「以」前に)子Bさんが亡くなっていることにより、父Aさんの財産は一気に孫Cさんが相続します(これを「代襲相続」と言います)。

同時死亡ということは2つの相続が発生しているということ

上記でお話したとおり、孫Cさんは父Aさんの財産を相続することになるのですが、孫Cさんは、子Bさんの財産も(親子ですから)当然相続します。

孫Cさんは同時に2つの相続の相続人になることになります。

想う相続税理士

子Bさんに妻Dさんがいる場合、妻Dさんは、子Bさんの相続人にはなりますが、父Aさんの相続人にはなりません。

父Aさんの相続人になるのは、孫Cさんだけです。

(同時死亡ではなく)父Aさんが亡くなり、遺産分割が確定する前に子Bさんが亡くなった場合には、妻Dさんは、子Bさんの相続人として、孫Cさんと一緒に、父Aさんの遺産分割協議に加わります。