相続税専門税理士の富山です。
今回は、兄弟の子や孫と養子縁組をした場合の相続税額の2割加算の適用について、お話します。
超近親者以外は相続税が割増計算される
意外と知られていないのですが、相続税には、配偶者の方に適用される「配偶者の税額軽減」(最低1億6,000万円まで非課税)や、未成年者や障害者の方に適用される「未成年者控除」「障害者控除」のように、相続税が安くなる制度がある一方、逆に相続税が高くなる制度もあります。
それが「相続税額の2割加算」です。
国税庁ホームページ・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4157 相続税額の2割加算
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。
ザックリ言うと、
- 配偶者
- 子
- 父母
以外の方、例えば、兄弟や甥・姪が財産を取得した場合には、この2割増課税の対象となります。
子は子でも養子の場合には取扱いが異なる
民法(一部抜粋)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
養子の方は、「子」と同じ身分(立場)になります。
子ということは、上記の「②子」に該当するワケですから、2割増課税の対象にならなそうですが、なる場合があります。
国税庁ホームページ・タックスアンサー(一部抜粋加工・上記の続き)
No.4157 相続税額の2割加算
(注1) 被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはなりません。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、被相続続人の子が相続開始前に死亡したときや相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっているときを除き、相続税額の2割加算の対象になります。
「養子になった孫」の場合には、養子が上記の「②子」に該当すると言っても、原則として2割増課税の対象になるのです。
兄弟の子や孫を養子にしたら相続税額の2割加算が適用される?
自分の孫を養子にした場合には、原則として2割増課税の対象になるのですが、これは「自分の」孫の場合の話ですので、兄弟の孫を養子にした場合には適用されません(2割増課税の対象になりません)。
兄弟の子を養子にした場合も同様です。
ただし、「兄弟の子(A)」を養子にした後に、その「兄弟の子」の「子(B)」(つまり「兄弟の孫」)を養子にした場合には、その「兄弟の孫」が2割増課税の対象になる場合があります。
「Bが、Aを養子にした後に生まれている」場合です。
先にAを養子にした時点で、Aは「自分の子」になります。
Bは、「自分の子になったAが産んだ(授かった)子」ですから、「自分の孫」になります。
Bを養子にするということは、「兄弟の孫」を養子にしたのではなく、「自分の孫」を養子にしたことになりますので、上記引用の(注1)に該当し、相続税額の2割加算が適用されます。
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