相続税専門税理士の富山です。
今回は、遺産分けと相続税申告における土地の評価方法について、お話します。
相続(遺産分け)の仕方で相続税は変わる
相続税は、土地の評価額によって大きく変動します。
その評価額は、遺産分けの仕方により変わります。
なぜかというと、土地は「利用単位」毎に、そして「取得者単位」毎に評価するからです。
国税庁HP(一部抜粋加工)
タックス・No.4603 宅地の評価単位
宅地の価額は、1筆単位で評価するのではなく、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)ごとに評価します
なお、相続、遺贈または贈与により取得した宅地については、原則として、取得者が取得した宅地ごとに判定します
亡くなった方が角地にご自宅を所有していて(上記の図のA土地+B土地)、A土地部分・B土地部分それぞれ100㎡で、そのご自宅敷地を長男と次男が共有で相続した場合には、A土地とB土地は1つの土地として(A土地+B土地で1単位として)評価します。
自宅敷地としての「1利用単位」で評価するからです。
ここまでが長男で、残りが次男、というように(物理的に2分割に)はなりません。
想う相続税理士秘書
A土地を長男、B土地を次男が相続した場合には、A土地とB土地は別々に評価します。
「取得者が取得した宅地ごとに判定」するからです。
道路付け(影響する路線価)が変わると単価が変わる
「A土地とB土地を1つの土地として評価しようが、別々の土地として評価しようが、トータルの面積は変わらないんだから、評価額は変わらないのでは?」と思われるかもしれませんが、分割の仕方により道路付けが変わると、路線価方式で計算する場合、その土地の「単価」が変わります。
この自宅が「普通住宅地区」にある場合、角地の場合の側方路線影響加算率は0.03ですから(正面の路線価に側方の路線価を3%加算します)、A土地+B土地で1単位として評価する場合の単価は、
51,350円×(100㎡+100㎡)=10,270,000円(他の補正率等の影響はないものと仮定、以下同じ)
であるのに対し、A土地とB土地を別々の単位として評価する場合の単価は、
51,350円×100㎡=5,135,000円
B土地:45,000円
45,000円×100㎡=4,500,000円
5,135,000円+4,500,000円=9,635,000円(1単位で評価するより約6.2%減)
となります。
面積が大きくなると土地が安くなる場合がある
上記のように分割して相続すれば必ず安くなるかというと、そんなことはありません。
上記のA土地とB土地が三大都市圏以外にあり、A土地・B土地の面積がそれぞれ500㎡だとしたら、話が変わってきます。
相続税申告における土地の評価においては、「地積規模の大きな宅地の評価」というモノがあり、一定の要件を満たすと「規模格差補正率」を適用することができます。
その要件の一つに、「三大都市圏以外の場合には1,000㎡以上」というモノがあります。
A土地+B土地で1単位として評価する場合には、面積が1,000㎡以上になるため、他の要件も満たしているとすると、
② ①×80%(規模格差補正率)=41,080円
41,080円×(500㎡+500㎡)=41,080,000円
となります。
それに対して、A土地とB土地を別々の単位として評価する場合には、
50,300円×500㎡=25,675,000円
B土地:45,000円
45,000円×500㎡=22,500,000円
25,675,000円+22,500,000円=48,175,000円(1単位で評価するより約17%増)
想う相続税理士