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相続時精算課税贈与における「時点」の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税贈与の要件充足を判定する上での「時点」について、お話します。


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相続時精算課税贈与には「人」の要件がある

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの仕組み(方式)があります。

暦年課税贈与は、贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)の要件がありません。

誰から誰に財産をあげてもOKです(他人に贈与してもOKです)。

贈与者と受贈者の関係等によって、適用される贈与税の「税率」は異なることとなります。

想う相続税理士秘書

相続時精算課税贈与は、原則として、贈与者(特定贈与者)は「60歳以上の父母または祖父母など」、受贈者は「18歳以上の子または孫など」という要件があります。

「60歳」「18歳」の判定時期

相続税法(一部抜粋加工)
第21条の9 相続時精算課税の選択
贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において18歳以上であるものに限る。)であり、かつ、その贈与をした者が同日において60歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、この節の規定の適用を受けることができる。

上記の条文にあるとおり、贈与者の「60歳」以上、受贈者の「18歳」以上というのは、その「贈与をした年の1月1日」で判定します。

ですから、1月5日に60歳・18歳になった場合、相続時精算課税が適用できるのは、翌年の贈与から、ということになります。

「子または孫など」の判定時期

受贈者には「18歳以上の子または孫など」という要件がある、とお話しましたが、上記の条文にあるとおり、正確には「推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において18歳以上であるものに限る。)」です。

この「直系卑属(子や孫など)」に該当するかどうかは、いつの時点で判定するのでしょうか?

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
21の9-1 推定相続人の判定
法第21条の9第1項に規定する「贈与をした者の推定相続人」とは、当該贈与をした日現在においてその贈与をした者の最先順位の相続権(代襲相続権を含む。)を有する者をいい、推定相続人であるかどうかの判定は、当該贈与の日において行うのであるから留意する。

上記の通達にあるとおり、「贈与日」時点で子や孫などに該当するかを判断します。

想う相続税理士

「養子」の方も上記の「直系卑属(子や孫など)」に該当しますが、相続時精算課税を適用するためには、その贈与の時に養子になっている必要がありますので、ご注意を。