相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税制度を適用した孫に対する贈与について、お話します。
想う相続税理士
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相続時精算課税は原則として相続税の節税効果なし
相続時精算課税制度は、その名のとおり、「相続」の「時」に「課税」が「精算」される制度です。
相続時精算課税による贈与は、必ず相続税の課税対象となります。
生前に贈与をすることで、亡くなった時に残っている財産(つまり、相続税の課税対象となる財産)を減らし、相続税を減らしたい、と考えて贈与をしても、その贈与財産には相続税が課税されます。
つまり、一般的な暦年課税による贈与のような節税効果は、相続時精算課税による贈与にはありません。
世代飛ばしの効果はある
通常、贈与をしなければ、「祖父母→①→祖父母の子供→②→孫」と①②の2回相続税が課税されるところ、「祖父母→①→孫」と相続時精算課税による贈与をすれば、①の1回の相続税の課税で済みます。
その分、トータルの相続税を節税できる可能性があります。
2割増し課税の対象になってしまう
相続時精算課税による贈与だけでなく、遺言により孫に相続で財産を取得させる場合も同じですが、相続税が2割増しで課税されます。
相続で財産を取得した方が、亡くなった方の一親等の血族及び配偶者以外の方の場合(つまり、亡くなった方と関係がちょっと遠い方の場合)には、相続税が2割増しで計算されます。
想う相続税理士秘書
どういう目的で孫に相続時精算課税により贈与をするのか?
お話してきたことをまとめながら、若干補足すると、孫に対する相続時精算課税による贈与は、
- 世代飛ばしとしての相続税の節税効果はある(遺言でも同様)
- ただし、それは暦年課税による贈与でも同様の効果を得られる場合がある
- 「場合がある」というのは、贈与する金額(贈与財産の評価額)による
- 暦年課税による贈与だと、贈与税が超過累進税率で課税される
- 少額の贈与であれば、相続税の実効税率よりも低い税率で財産を移転できる可能性がある(相続税の節税につながる)
- 多額の贈与の場合には、贈与税が跳ね上がる(下手をすると相続税よりも高い税金を支払うことになる)
- 相続時精算課税による贈与であれば、相続税の実効税率の課税で済む
- ただし、孫に対する相続時精算課税による贈与は、相続税が2割増しで計算される
ということになります。
値上がりする財産や収益を生む財産を相続時精算課税により贈与した場合にも、相続税の節税効果があります(これは孫に対する贈与に限定されません)。
それらも加味した上で、孫に対する贈与の目的を明確にし、暦年贈与と比較して、相続時精算課税による贈与だったら、どう効果的に贈与ができるかを検討しましょう。
想う相続税理士
相続の時に相続税の納税ができるよう、納税資金を用意しておく(残しておく)ことをお忘れなく。