知っておかないと損をする「相続時精算課税制度」の概要
贈与にはいい面(メリット)がある
相続があった場合、原則として遺産分割協議(相続人間の話し合い)により遺産分けをする
相続人間でモメて遺産分けがうまくまとまらず、各相続人にとって(おそらく亡くなった方にとっても)不本意な結果になることもある
親族で経営している同族会社の株式を後継者がうまく引き継げず、会社の運営に支障をきたすこともある
相続まで待たずに生前に贈与により引き継いでおけば、遺産分割協議の対象にならない場合もある(特別受益に注意)
相続人間でモメなくても(モメる可能性がなくても)、相続でもらうよりも、贈与でもらった方がいい場合がある
相続が発生する未来に財産をもらうよりも、今、お金が欲しい(お金がかかる、お金が必要だ)というような場合である
贈与で財産をもらうことにはメリットがある
贈与税は相続税の補完税
でも、皆さんどうして贈与をやらないかというと、贈与税が高いから
「贈与税は相続税の補完税」と言われている
「相続税の課税を回避するために贈与をするんだったら、相続税よりも高い課税をするぞ」ということで、税負担が高くなっている
相続時精算課税贈与は税負担が高くない
上記の贈与による財産移転のメリットを享受しつつ、高い税負担を避けたい、という場合には、相続時精算課税贈与が有効
贈与をしても、最終的には相続税が課税される(相続税の税負担で済む)から
相続時精算課税制度の仕組み
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対する贈与について、一定の要件を満たした際に適用できる制度
相続時精算課税贈与については、2,500万円の非課税枠(特別控除額)が用意されており、それを超える部分には一律20%の贈与税が課税される
つまり、2,500万円までなら無税で贈与できる
その代わり、必ず相続税の課税対象になる
ザックリ言うと、
「相続税の課税対象=相続で取得した財産+相続時精算課税贈与により過去に取得した財産」
つまり、通常の相続財産に、生前の相続時精算課税贈与財産を加算して、相続税を計算することになる
2,500万円を超える相続時精算課税贈与を受けていた場合、超える部分には20%の贈与税を負担している、相続税の課税対象になって、相続税を負担することになったら、贈与税と相続税の二重課税になってしまう
そこで、相続時精算課税贈与により納付した贈与税は、相続税の前払いと考えて、計算した相続税から控除することができる
相続税を課税するんだから、過去の贈与税はナシにしてくれる、ということ
「ナシにするから還付してもいいけど、相続税を払うんだったら、そこから差し引いて、その分、払う相続税は少なくていいよ」ということ
したがって、払う相続税がなければ、差し引けないから、全額還付してもらえる