【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

評価額に変動がない財産を相続時精算課税により贈与した場合の相続税申告3パターン

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税により評価額に変動がない財産を贈与した場合における、その後の相続税申告について、お話します。


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贈与税がかからなくても相続税の課税対象になる

父Aさんが長男Bさんに、令和7年中に現金2,610万円を初めて相続時精算課税により贈与したとします。

長男Bさんが令和7年中に他に贈与により取得した財産が無ければ、贈与税はかかりません。

2,610万円
△基礎控除額110万円
△特別控除額2,500万円
=0円

となるからです。

しかし、2,610万円から基礎控除額110万円を控除した残額2,500万円は、父Aさんが亡くなった時には、相続税の課税対象となります。

父Aさんの相続財産が2,000万円だった場合、その2,000万円に2,500万円が加算されて相続税が計算されます(合計4,500万円・債務及び葬式費用は無いものと仮定)。

相続人が長男Bさんのみだとすると、相続税の非課税枠(遺産に係る基礎控除額)は、
3,000万円+600万円×1人=3,600万円
となり、相続税の非課税枠を超えるため(4,500万円>3,600万円)、
相続税90万円
がかかります。

ちなみに、父Aさんが生前贈与をしなかった場合、
2,610万円+2,000万円=4,610万円
に対して
相続税101.5万円
がかかります。

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相続税の課税対象になっても無税の場合もある

上記のお話は、父Aさんの相続財産が2,000万円だった場合、ということになっていますが、父Aさんの相続財産が1,000万円だったとすると、その1,000万円に2,500万円が加算されて相続税が計算されます(合計3,500万円)。

相続税の非課税枠以下であるため(3,500万円≦3,600万円)、相続税はかかりません。

これを狙って相続時精算課税制度を選択するのはアリです。

相続時精算課税制度は、相続税がかかるお家にしか活用できないものではありません。

長男Bさんが現在、多額のお金を必要としている。

でも、普通に(暦年課税により)贈与すると、多額の贈与税がかかってしまう。

相続時精算課税により贈与すると、基礎控除額と特別控除額の範囲内であれば、贈与税がかからない、つまり、無税で移転できる。

さらに、相続の時に、贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算しても相続税がかからなければ、完全に無税での早期財産移転が可能となります。

相続税の課税対象になって贈与税が還付されることもある

長男Bさんがもっと多額のお金を必要としていて、2,610万円じゃ足りないとします。

そこで、父Aさんは3,610万円の財産の中から、長男Aさんに3,110万円の現金を贈与したとします(残りは500万円、亡くなるまで変わらないと仮定)。

長男Bさんが令和7年中に他に贈与により取得した財産が無いとすると、

3,110万円
△基礎控除額110万円
△特別控除額2,500万円
=500万円

となり、
500万円×20%=100万円
の贈与税を納付することになります。

それでも(100万円が贈与税の支払いで無くなっても)3,000万円以上の現金が手元に残ります。

父Aさんが死亡したとします。

父Aさんの相続財産500万円に、相続時精算課税贈与財産3,110万円から基礎控除額110万円を控除した残額3,000万円が加算されて相続税が計算されます(合計3,500万円・債務及び葬式費用は無いものと仮定)。

相続税の非課税枠以下であるため(3,500万円≦3,600万円)、相続税はかかりません。

納付した贈与税100万円は、相続税の申告をすることにより還付されます。

想う相続税理士

最初のパターンで、父Aさんが全財産4,610万円を長男Bさんに相続時精算課税により贈与した場合には、

4,610万円
△基礎控除額110万円
△特別控除額2,500万円
=2,000万円

となり、
2,000万円×20%=400万円
の贈与税を納付することになりますが、相続税の申告をすることにより、
90万円△400万円=310万円
が還付されます。