【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

マイホームを買い替える場合の住宅ローン控除と3,000万円の特別控除の選択撤回可否

相続税専門税理士の富山です。

今回は、マイホームを買い替える場合の特例の選択と、選択のやり直しの可否について、お話します。

出典:TAINS(所得事例700494)(一部抜粋加工)
東京国税局課税第一部 資産課税課 資産評価官(令和6年7月作成)
「資産税質疑事例集」


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


マイホームを買い替える場合にはどちらかの特例を選ぶ必要がある

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第41条 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
24 第1項の規定は、個人が、同項の居住用家屋若しくは既存住宅若しくは増改築等をした家屋の当該増改築等に係る部分又は第10項の認定住宅等をその居住の用に供した日の属する年分の所得税について第31条の3第1項、第35条第1項、第36条の2、第36条の5若しくは第37条の5の規定の適用を受ける場合又はその居住の用に供した日の属する年の前年分若しくは前々年分の所得税についてこれらの規定の適用を受けている場合には、当該個人の第1項に規定する10年間の各年分の所得税については、適用しない
25 第1項の居住用家屋若しくは既存住宅若しくは増改築等をした家屋の当該増改築等に係る部分又は第10項の認定住宅等をその居住の用に供した個人が、当該居住の用に供した日の属する年の翌年以後3年以内の各年中に当該居住の用に供した当該居住用家屋及び既存住宅並びに当該増改築等をした家屋並びに当該居住の用に供した当該認定住宅等並びにこれらの家屋の敷地の用に供されている土地以外の資産の譲渡をした場合において、その者が当該譲渡につき第31条の3第1項、第35条第1項、第36条の2、第36条の5又は第37条の5の規定の適用を受けるときは、当該個人の第1項に規定する10年間の各年分の所得税については、同項の規定は、適用しない

上記の条文を読むと、住宅ローン控除を適用しようとする年、その前年及びその前々年、その翌年及びその翌々年及びその翌々翌年に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受ける場合には、住宅ローン控除が適用できない、と書かれています。

この「租税特別措置法第35条第1項」は、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除(「居住用財産の譲渡所得の特別控除」)のことです。

自宅を買い替える場合には、住宅ローン控除と3,000万円の特別控除のどちらかしか適用できません。

つまり、どちらが有利かを検討し、選択する必要があるのです。

やっぱり3,000万円の特別控除を受けたい、は通用する?

措置法第41条の3《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けた者が居住用財産に係る課税の特例を受ける場合の修正申告等》は、住宅ローン控除特例の適用を受けた年分の翌年以後3年以内において、本件譲渡特例の適用を受ける場合には、居住用財産の譲渡をした日の属する年分の所得税等の確定申告期限までに、住宅ローン控除特例の適用を受けた各年分の所得税等の修正申告を行わなければならない旨規定し

租税特別措置法第41条の3は、「住んでいる家(今の家)について住宅ローン控除の適用を受けているんだけれども、住まなくなった家(前の家)の売却について、3,000万円の特別控除を適用したい」という場合には(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する場合に限ります)、住宅ローン控除を適用した過去の確定申告を「適用なし」で全部やり直せば(修正申告をすれば)、3,000万円の特別控除が適用できる、と規定しています。

やっぱり住宅ローン控除を受けたい、は通用する?

本件譲渡特例の適用を先に受け、翌年以後に住宅ローン控除特例の適用を受けようとする場合について、本件譲渡特例の撤回規定は設けられていない

住まなくなった家(前の家)を売却した際に3,000万円の特別控除を適用した確定申告をしている場合には、その確定申告を「適用なし」でやり直しても(修正申告をしても)、住んでいる家(今の家)について住宅ローン控除を適用することはできない、としています。

想う相続税理士

マイホームを買い替える場合には、所得税の特例の適用にご注意を。