相続税専門税理士の富山です。
今回は、再婚した場合の贈与税の配偶者控除について、お話します。
相続まで待たずに配偶者に自宅を取得させるための制度
贈与税の計算には、「おしどり贈与」と言われているモノがあります。
正式名称は「贈与税の配偶者控除」です。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、「居住用不動産」や「居住用不動産を取得するためのお金」の贈与をした場合、基礎控除110万円に加え、配偶者控除2,000万円が適用できる、という制度です。
例えば、配偶者から自宅新築のために2,110万円のお金の贈与を受けた場合(その年に他に贈与を受けていないものとします)、一定の要件に該当すれば、その贈与は無税になるのです。
想う相続税理士秘書
再婚している場合の婚姻期間とは?
再婚されたご夫婦の場合、ご注意いただきたいのは、「婚姻期間が20年以上」の要件です。
相続税法施行令(一部抜粋加工)
第4条の6 贈与税の配偶者控除の婚姻期間の計算及び居住用不動産の範囲
法第21条の6第1項に規定する贈与をした者が同項に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当するか否かの判定は、同項の財産の贈与の時の現況によるものとする。
2 法第21条の6第1項に規定する婚姻期間は、同項に規定する配偶者と当該配偶者からの贈与により同項に規定する居住用不動産又は金銭を取得した者との婚姻につき民法第739条第1項(婚姻の届出)の届出があつた日から当該居住用不動産又は金銭の贈与があつた日までの期間(当該期間中に当該居住用不動産又は金銭を取得した者が当該贈与をした者の配偶者でなかつた期間がある場合には、当該配偶者でなかつた期間を除く。)により計算する。
一度目の結婚に係る婚姻の届出があった日からカウントするワケではありません。
だからと言って、二度目の結婚に係る婚姻の届出があった日からカウントするワケではありません。
「配偶者でなかつた期間がある場合には、当該配偶者でなかつた期間を除く」とあるとおり、一度目と二度目の結婚に係る婚姻期間を通算した期間となります。
想う相続税理士
相続税法基本通達(一部抜粋加工)
21の6-7 贈与税の配偶者控除の場合の婚姻期間の計算
法第21条の6に規定する婚姻期間を計算する場合において、その計算した婚姻期間に1年未満の端数があるときであっても、その端数を切り上げないのであるから留意する。したがって、その婚姻期間が19年を超え20年未満であるときは、贈与税の配偶者控除の適用がない。