相続税専門税理士の富山です。
市街化調整区域内にある雑種地の相続税申告における評価方法 上記の記事で、相続税申告における雑種地の評価の概要についてお話しましたが、今回は、その評価方法の趣旨について、お話します。「周囲類似土地比準方式」で評価する理由
土地の価値は、その土地を最も有効に使用した状態をベースに決められると考えられる
この場合の「最も有効に使用」というのは、周辺地域の標準的な地目に影響される
したがって、評価対象地(雑種地)の周辺地域の状況(地目)をベースに評価するのは論理的である
「雑種地」と言うと、地目的には「宅地」に近い感じがするが、例えば周囲が山林の場合には、その評価対象地だけが宅地になるということは想定し難い(法的な規制があり宅地にできない(建物が建てられない)場合もあれば、そこだけポツンと宅地にしても誰も買わない、使わない、ということも考えられる)
逆に、市街化調整区域の雑種地で(幹線道路沿いや市街化区域との境界付近に所在し)その評価対象地の周辺に宅地(建物が建っている土地)がある場合、法的な規制があったとしても、実際に周りに建物が建っているワケだから、完全に建物が建てられないとは言えないため、宅地ベースで評価するのは論理的である
また、原則として建物が建てられない場合もあるが(一般的な市街化調整区域)、この場合には、「宅地」と「宅地以外」(農地・山林・原野等)のどちらに近いかで検討し、宅地に近ければ宅地ベースで計算する
宅地比準の場合のしんしゃく割合(減額割合)の根拠
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
27-5 区分地上権に準ずる地役権の評価
区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げるその承役地に係る制限の内容の区分に従い、それぞれ次に掲げる割合とすることができるものとする。
(1) 家屋の建築が全くできない場合 100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合
(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30
「一般的な市街化調整区域=原則として建物が建てられない」は、「家屋の建築が全くできない場合」=「100分の50」制限(50%減額)で評価するのは理論的である
市街化調整区域でも、幹線道路沿いや市街化区域との境界付近の場合、市街化の影響度が強いため、建物の建築に法的な制限があるにしても、「原則として建物が建てられない」とまでは厳しくない場合もあり、このような場合には、「家屋の構造、用途等に制限を受ける場合」=「100分の30」制限(30%減額)で評価するのは理論的である
さらに、そのような土地でも、周囲に郊外型店舗等が建ち並んでいて、宅地ベースの金額で売買できるような場合には、制限がないと考えられるため、「0%減額」で評価するのは論理的である
想う相続税理士
財産評価基本通達(一部抜粋)
24-5 農業用施設用地の評価
その宅地が農地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、その農地を課税時期において当該農業用施設の用に供されている宅地とする場合に通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を加算