相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告において、亡くなった方の不動産を把握する際の注意点について、お話します。
毎年届く不動産の明細書
土地や建物をお持ちの方は、毎年春頃になると、市町村役場から固定資産税の課税明細書がご自宅に届いていると思います。
これを見ると各不動産の評価額や面積が記載されていますので、この課税明細書を元に相続税の申告をしても問題ないように思われるかもしれません。
しかし、固定資産税の課税明細書だけを頼りに相続税の申告をすると、失敗してしまう可能性があります。
固定資産税には免税点というものがある!
土地や建物、償却資産(一定の事業用資産)などの固定資産に対しては固定資産税が課税されるのですが、同一の方が同一市町村内に所有している固定資産に係る固定資産税の課税標準額が、土地については30万円、建物については20万円、償却資産については150万円未満である場合には、固定資産税が免除されることになっています。
想う相続税理士
つまり、不動産を所有していても、課税標準額が低い場合(免税点以下の場合)には、固定資産税が課税されず、課税明細書も届かない、ということがあるのです。
この「免税点以下」には、非課税(課税標準額0円)の土地も含まれます。
「固定資産税が非課税だったら相続税もかからないのでは?」と思われるかもしれませんが、固定資産税は非課税でも相続税が課税されることがあります。
想う相続税理士秘書
「A市に土地があるって言ってたよね?」という他の相続人の問いかけに、「でも、あるんなら固定資産税の課税明細書が届いてるはずだよ、届いていないってことは、A市には土地や建物がないってことだよ」なんていう返しをしてスルーしてしまうと、財産の申告もれを引き起こす可能性がある、ということです。
共有の場合には代表者にしか送られない場合がある
共有で所有している固定資産については、共有者全員に課税明細書を送付している市町村もあるのですが、代表者を決めて、その代表者にだけ送付している市町村もあります。
共有資産の固定資産税については、所有者全員が連帯して納付する「連帯納付義務」があります。
各共有者の持分に関係なく、共有者全員が固定資産税の全額の納税義務を負う、ということです。
そのため、市町村役場も、固定資産税を持分に応じて按分して各共有者に課税する(請求する)ということができないため、「みんなで話し合ってちゃんと全額納付してね」という感じで、課税明細書と納付書を代表者にのみ送付しているところがあるのです。
想う相続税理士