相続税専門税理士の富山です。
相続税の申告書を作成している際に、市区町村役場から、固定資産税の納税通知書が届いたり、亡くなる前に届いていたのを発見する場合があります。
その場合、「固定資産税はこの相続税の申告にどう関係するんだろう?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、この固定資産税の相続税申告における取扱いについて、お話します。
固定資産税は債務控除の対象
相続税の申告においては、プラスの財産からマイナスの財産を控除して、正味財産に対して相続税を課税する、という考え方があります。
5,000万円の土地を相続しても、同時に1,000万円の借金を引き継ぐのがあれば、「これから1,000万円の現金が出ていくワケだから、じゃあ5,000万円△1,000万円=4,000万円を相続するのと実質的には同じだよね」という考え方です。
この1,000万円をマイナスすることを「債務控除」と言うのですが、固定資産税についても、この債務控除の対象となる場合があります。
固定資産税が債務となるのはいつ?
固定資産税は、年度ごとに課税が行われますが、その賦課期日(課税の根拠となる日)は、その年の1月1日です。
例えば、令和4年度の固定資産税は、令和4年1月1日に固定資産を所有していた方が納税義務者となります。
そうすると、令和4年中に亡くなった方の相続については、令和4年度の固定資産税をまだ支払っていない場合に、それが債務控除の対象になる、ということになります。
つまり、固定資産税の納税通知書が届く前に亡くなった場合、例えば2月に亡くなった場合、後から届く納税通知書に記載された固定資産税の金額は、債務控除の対象になる、ということです。
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相続開始時点で未払であれば債務控除の対象
また、亡くなった後に届いた固定資産税の納税通知書の場合には、相続開始時点でまだ支払っていない分の固定資産税が債務控除の対象となります。
口座振替で支払っている場合には、通常は期別ごとの振替になっているでしょうから、亡くなった後の振替期日の部分は全て債務控除の対象となります。
逆に亡くなる前に全期分を前納している場合は、相続人の方が代わりに支払うということはありませんので、債務控除の対象とはなりません。
また、過年度分、例えば令和3年度分の固定資産税が未払であったというような場合、過年度分であったとしても、それを相続人の方が負担しなければならないことに変わりはありませんから、同様に債務控除の対象となります
亡くなった方は令和4年1月1日時点では既にお亡くなりになっていますので、納税義務者とはなり得ません(通常は相続人の方が支払います)。
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