相続税専門税理士の富山です。
今回は、死亡後に請求して入金されるモノのうち、相続税の課税関係について注意すべきモノについて、お話します。
準確定申告は相続税の計算に影響する
相続税の申告は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければなりません。
でも、その前にもう1つやらなければならないものがあります。
それは、亡くなった方の確定申告(「準確定申告」)です。
準確定申告は、亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にしなければなりません。
想う相続税理士秘書
この準確定申告により納税になった場合、その納付する所得税は「債務」として、プラスの財産から控除して相続税を計算することができます。
逆に還付になった場合には、その還付金額を「その他の財産」として、相続税の申告において財産計上する必要があります。
請求しなければ還付されないモノでも相続財産になる?
所得税の還付金は、相続人の方が計算し、確定申告という手続きにより請求することによって、はじめて受け取ることができます。
税務署が勝手に計算して還付してくれるワケではありません。
少額の還付金だったら、確定申告しない、という方もいらっしゃるでしょう。
そうすると、相続人の方の手によって入金になるモノなので、相続財産ではない、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、還付が生じた原因というのは、亡くなった方に生前収入があって、そこから差し引かれていた所得税が結果として納め過ぎになったり、または、前年の実績により前払いしていた所得税が結果として多かったことによるモノです。
つまり、税金の仕組み上、先に払っていた税金が還付になるワケであり、還付を受ける権利は、その払った方(つまり亡くなった方)が有しています。
所得税の還付金は、その権利が、死亡により年の途中で計算期間が区切られ、その上で相続人が確定申告の手続きをすることにより顕在化したモノなので、相続税の課税対象となります。
死亡後に入金となる国民年金は相続財産ではない
国民年金の受給者がお亡くなりになった場合、国民年金は後払い(例えば、2月・3月分は4月に支払われます)なので、必ず亡くなった方がもらえなかった部分が出てきます。
この未支給部分は、親族の方などが支給を請求することによって、受け取ることができます。
そうすると、所得税の還付金と同じように、相続財産になりそうですが、なりません。
なぜなら、「民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたもの」(国税庁ホームページより)とされているからです(相続人以外の方が受け取る場合もあります)。
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