相続税専門税理士の富山です。
今回は、親が子供にお金や土地を貸す場合の税務上の注意点について、お話します。
「タダで貸す」と贈与が発生する
親が子供に、お金や土地を貸してあげることがあります。
「お金や土地を『あげる』ワケじゃないんだから、贈与税とかかからないでしょ?」とお思いになるかもしれません。
でも、親が子供にお金や土地を「タダ」で貸している場合はどうでしょうか?
通常、お金や土地を借りる場合には、利息や地代を支払います。
それを支払わずに借りられるということは、「トク」していることになると思いませんか?
「タダで借りる」ということは「利益を受ける」ということなので、原則として、贈与税の課税対象になります。
相続税法(一部抜粋)
第9条
対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす。
想う相続税理士
本当に「貸している」?
例えば、お金を借りる場合、お金を借りるということは、「お金をもらう」ワケではありませんので、そのお金を返さなければなりません。
もし、お金を返さないで済むのであれば、それは「もらう」ことと同じです。
「もらった」のであれば、(タダで借りていることによる利息相当額ではなく)その「貸付金としてやり取りした金額の贈与」を受けたことになります(1,000万円のやり取りなら1,000万円の贈与!)。
相続税法基本通達(一部抜粋)
9-10 無利子の金銭貸与等
夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要する
想う相続税理士秘書
トクしている分の金額が少なければ見逃してもらえる
相続税法基本通達(一部抜粋)
9-10 無利子の金銭貸与等
特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。
ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。
利息や地代を支払わないでお金や土地を借りられることによる「トク(経済的利益))」は、確かに贈与税の課税対象なのですが、金額が少なければ、贈与税は課税しない、という取扱いも定めされています。
想う相続税理士