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相続税対策をすることにより、確かに相続税は減るが、財産自体も減ったら意味があるのか?
相続税は、相続財産に対してかかります。
ですから、相続税を減らすためには、相続財産を減らせばいい、という理屈になります。
しかし、相続税が減ったけれども、同時に、財産も減ったら、それはハッピーなのでしょうか?
財産が減って相続税が減るのは当たり前
相続税対策をするということは、 納める相続税を減らすことにより、手元に残るお金を増やそうという目的があるはずです。
これを忘れてしまうと、本末転倒な展開が待っています。
投資金額よりも安くなって喜んでいいの?
相続税対策として、財産の組み換えが行われる場合があります。
1億円の現金を持っているのよりも、その1億円で建物を建てた方が、相続税が安くなります。
なぜかと言うと、建物の相続税評価額は、建築金額の6割程度になるからです。
ですから、建物を建てれば、それだけで4割、相続財産が圧縮できます。
しかし、その建物が何の役にも立たない建物であるとすれば、実際の価値は、 6割どころか0ということになります。
そうすると、価値はゼロなのに、6割(1億円の6割なら6,000万円) で計算されて、相続税を納めなければならないということになります。
つまり、 お金をかけて建物を建てる、という場合には、きちんとその建物に価値が出るようにしなければなりません。
自分や家族が使うのなら絶対に価値があるでしょ
「価値が出るように」というのは、何も好立地にアパートなどの賃貸物件を建てなければいけない、と言っている訳ではありません。
自分や家族が住む建物でもいいのです。
例えば、お子さんが家を建てたいという場合、そのお子さんに(相続や贈与で)お金をあげて、そのお子さんの名義で家を建てるとすれば、あなたからお子さんに移転する財産は現金ですよね。
そのお金が3,000万円だとすれば、 その3,000万円という現金に対して、相続税や贈与税がかかります(ちなみに、贈与税については一定額まで、住宅取得資金についての非課税の特例があります)。
それに対し、親が家を建てて、お子さんに、「この家にタダで住んでいいよ」と言えば、親からお子さんに財産が移転するのは、その親の相続の時ですよね。
その相続の時の評価額に対して、相続税がかかることになります。
建物については、ずっと住んで時が経過すればするほど、相続税評価額が下がっていきますから、さらにどんどん節税になります。
借りている家は嫌?
やっぱり、自分の家は、自分の名前になっていた方がいいのでしょうか?
この方法、あまり使われることはありません。
でも、最近の若い方は、車も所有しないようです。
所有コストに敏感なんでしょうから、この「親名義の子住まい」戦法は、これからはハヤるかもしれません。
財産(預貯金)がある方は、もう既に昔からやっていると思いますよ。