相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続における3つの基本的な対策と言われる「争族対策」「相続税の納税資金対策」「相続税の節税対策」のうち、「相続対策」について、お話します。
財産がなくても争族は起きる
相続人が一人であれば、争族対策は必要ありません。
しかし、相続税が出ない、相続税の申告が必要ない、という場合でも、相続人が二人以上いる場合には、遺産分けが必要となり、その際に「争族」にならないようにするための対策が必要です。
「争族なんて資産家のところじゃなくちゃ起こらないでしょ」と思われるかもしれませんが、例えば、相続財産が自宅しかない、というような場合、自宅を相続する相続人以外の相続人は何も相続できない、というようなことになります(モメる可能性があります)。
また、各相続人の相続に対する考え方や感覚の違いも争族を引き起こす要因となります。
親と同居していて面倒を見てきたから、長男として家を守っていくから、多めに財産をもらいたい、という考え方もあれば、それは関係ない、近くにいた分、トクしている部分もあるはずだ、という考え方もあり、また、生前に学費や住宅購入資金をもらっているハズだ、私はもらっていないから、その分、相続では多くもらいたい、と考える場合もあります。
最初に検討すべきなのは遺言の作成
ご自分が亡くなった場合、推定相続人(相続人になる人)の間で遺産分けの話し合いがまとまらない可能性がある(高い)という場合、遺言を作成しておくことは重要です。
遺言者(遺言を書いた方)が亡くなっているとしても、その方の想いというのは、遺言を通じて伝わります。
もちろん、それでもその遺言に納得しない、という相続人の方もいるかもしれません。
しかし、全員が納得できない、という場合を除き、その遺言に法的な効力があれば(無効でなければ)、その遺言のとおりに遺産は分けわれます。
取り分の少ない相続人の方が「遺留分侵害額の請求」をすれば、その後の代償金のやり取りは発生しますが、とりあえずは遺産分けが落ち着きます(できます)。
とはいえ、その遺言の内容がきっかけで、相続人が不仲になってしまう可能性がありますので、内容については十分吟味し、恥ずかしがらずに付言事項(相続や推定相続人に対する想いを書くところ)も活用しましょう。
想う相続税理士
それぞれコストがかかるかもしれませんが、共有で相続させたりするのに比べると、相続人にとっては有難いハズです。
遺言でも対応が難しい、という場合には、生前に贈与をして財産の移転を済ませておく、というのも効果がある場合があります。