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暦年課税の加算(持戻し)期間延長に対する対応策
生前贈与をしても相続税がかかる場合がある
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。
「相続で財産を取得した方」が相続開始前3年以内に亡くなった方から暦年課税贈与によりもらった財産には相続税が課税される(「生前贈与加算」という)
生前に贈与すれば相続税の対象にならない、と考えるのは間違い
上記の「3年」が令和5年度税制改正により徐々に延長され、最終的に「7年」になる
相続で財産を取得しなければ関係ない
ただしこれは、「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人」=「相続で財産を取得した方」の場合の話
「相続で財産を取得しない方」に暦年課税贈与すれば、生前贈与加算の対象にはならない
相続で財産を取得しない方に贈与する
相続人が配偶者+子のパターンの場合、これらの方に暦年課税贈与すると、相続でこれらの方が財産を取得したら、生前贈与加算の対象になる可能性がある
暦年課税贈与は誰にでも(相続人以外にも)できる
そこで、「子の配偶者」や「孫」に暦年課税贈与をする
子に贈与しなくても、子の配偶者に贈与すれば、(通常、夫婦はお財布が一緒だから)子も喜ぶ
孫に暦年課税贈与した場合、財産の移転に対する課税を「一代飛ばし」する効果がある
どういうことかというと、
親→相続・相続税(1回目)→子→相続・相続税(2回目)→孫
が
親→贈与・贈与税(1回)→孫
で済むのである
相続人ではなくても相続で財産を取得できる
この場合に注意しなければならないのは、相続人ではない孫でも「相続で財産を取得した方」に該当する可能性があることである
孫が死亡保険金の受取人になっている場合、その死亡保険金の受取りは「相続で財産を取得」に該当するため、贈与が生前贈与加算の対象になる可能性がある
同じく、遺言で財産をあげた場合も「相続で財産を取得」に該当する
相続人は必ず生前贈与加算の対象になるワケではない
「子の配偶者」を養子縁組することがある(養子縁組により法定相続人になる)
法定相続人の数を増やすことにより、「遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)」や「死亡保険金や死亡退職金の非課税限度額(=非課税枠)」の金額が増え、「相続税の総額」の計算における税負担率が下がることにより、相続税の節税につながるからである
「子の配偶者」を養子縁組したら、その「子の配偶者」に対する贈与が生前贈与加算の対象になるかというと、養子縁組しただけではならない
「相続で財産を取得」しなければいいのである(そうすれば、生前贈与加算の対象にはならない)
相続の際の遺産分割協議においても財産を取得せず、遺言でも取得せず、死亡保険金も受け取らない、ということである
孫を養子縁組した場合も同様である
また、それは法定相続人でも同様である
例えば法定相続人である次男でも、相続の際の遺産分割協議においても財産を取得せず、遺言でも取得せず、死亡保険金も受け取らなければ、(法定相続人だけれども)相続で財産を取得していないので、生前贈与加算の対象にならなない
暦年課税の加算(持戻し)期間延長に対応していくためには、より早い時期に贈与を開始することも検討すべきだが、生前贈与加算の対象とならない方への積極的な贈与も検討すべきである