【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった方の勤務先から給与と賞与と退職金と弔慰金を受け取ったら?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、お勤めだった方が亡くなり、ご遺族が勤務先から給与・賞与・退職金・弔慰金を受け取った場合の課税関係について、お話します。


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相続税申告における「給与・賞与」の取扱い

給与や賞与をご遺族の方が受け取った場合、例えば、月末に給与が支払われるけれども、5/20に亡くなった、5/31に亡くなった方に支払われるハズだった給与は、ご遺族に支払われた、という場合、その給与は相続財産として相続税の課税対象になります。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-33 支給期の到来していない給与
相続開始の時において支給期の到来していない俸給、給料等は、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等には該当しないで、本来の相続財産に属するものであるから留意する。

亡くなった後に確定した賞与についても同様です。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-32 被相続人の死亡後確定した賞与
被相続人が受けるべきであった賞与の額が被相続人の死亡後確定したものは、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等には該当しないで、本来の相続財産に属するものであるから留意する。

相続税申告における「退職金」の取扱い

「みなし相続財産」というモノがあります。

不動産や預貯金などの「本来の相続財産」ではなくても、相続財産と「みなして」相続税が課税されるモノです。

この「みなし相続財産」の中に退職金があります。

相続税法(一部抜粋加工)
第3条 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。
二 被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、当該給与

亡くなった後に支給が(3年以内に)確定した「死亡退職金」は、相続税の課税対象となります。

「500万円×法定相続人の数」で計算される非課税枠があります。

想う相続税理士秘書

「死亡退職」ではなく「生前退職」の場合で、退職後にすぐお亡くなりになったことにより、支給額が生前に確定せず、死亡後に(3年以内に)確定したときも、上記と同じ取扱いになります。

相続税法基本通達(一部抜粋)
3-31 被相続人の死亡後支給額が確定した退職手当金等
被相続人の生前退職による退職手当金等であっても、その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので、被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等に該当するのであるから留意する。

相続税申告における「弔慰金」の取扱い

勤務先から「弔慰金」などの名目で受け取った金銭などのうち、実質的に死亡退職金に該当すると認められる部分については、上記の「死亡退職金」として取り扱い、それ以外の部分については、下記の金額を超える部分の金額のみを、上記の「死亡退職金」として取り扱います(下記の金額は「非課税」です)。

業務上の死亡の場合の弔慰金の非課税枠

被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額

業務上の死亡ではない場合の弔慰金の非課税枠

被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額

想う相続税理士

上記の相続税の課税対象になるモノについては、所得税は課税されません。

所得税基本通達(一部抜粋加工)
9-17 相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等
死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等(法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等をいう。)で、その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税しないものとする。