相続税専門税理士の富山です。
国外に居住している相続人が取得した相続財産には相続税は課税されない?上記の記事では、日本に居住している日本人の方がお亡くなりになり、日本人の相続人の方が相続により財産を取得したんだけど、その相続人の方が国外に居住している、という、「結構よくあるパターン」における「相続税の課税対象となる財産(相続税が課税される範囲)」について、お話しました。
今回は、その「日本に居住している日本人の方がお亡くなりになり、国外に居住している日本人の相続人の方が相続により財産を取得した」という同じパターンで、その相続人の方が、相続税の申告において、国内に居住している日本人の相続人の方と同じように債務控除を適用できるか、ということについて、お話します。
「結構よくあるパターン」は「第1条の3第1項第2号の規定に該当する者」に該当
上記の記事において、「日本に居住している日本人の方がお亡くなりになり、国外に居住している日本人の相続人の方が相続により財産を取得した場合」には、その相続人の方は、「第1条の3第1項第2号の規定に該当する者」に該当するため、国外財産・国内財産のどちらも相続税の課税対象になる、ということをお話しました。
相続税の申告においては、亡くなった方が残した借入金などの債務や、葬式費用の金額については、遺産総額から差し引くことができます(「債務控除」と言います)。
遺産総額から差し引く、ということは、その分、相続税の課税対象が減る、つまり、相続税が安くなる、ということになります。
亡くなった方の債務や葬式費用を引き継いだり負担した相続人の方が、上記の「結構よくあるパターン」の「国外に居住している日本人の相続人の方」だったとしても、債務控除を適用することができるのでしょうか?
債務控除の適用範囲も相続税法第1条の3ベースで判断する
相続税法(一部抜粋)
第13条 債務控除
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
上記の「結構よくあるパターン」の「国外に居住している日本人の相続人の方」は、「第1条の3第1項第2号の規定に該当する者」です(上記の記事参照)。
債務控除の適用範囲も、この第1条の3のいずれに該当するかで判断するのですが、上記の青字の部分にあるとおり、「第1条の3第1項第2号の規定に該当する者」は、「第1条の3第1項第1号の規定に該当する者」(国内に居住している日本人の相続人の方はこれに該当)と同じく、通常の債務控除の適用が可能となります。
想う相続税理士