【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

亡くなった方も相続人も日本国籍を有していない国外在住で国外財産のみを相続する場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方が日本国籍を有しておらず生前は国外に居住していて、日本国内と国外の両方に財産を所有している、そして、相続人の方の中に、日本国籍を有していて日本に住んでいる方と、日本国籍を有しておらず国外に居住している方がいらっしゃる場合の、相続税の計算方法について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応

または はこちらから


相続人が国外に居住しているけど日本国籍を有しているというのはよくあるけど・・・

相続税の申告に国外が絡むケースでありがちなのは(そして、ちょっと悩むのは)、亡くなった方が日本国籍を有していて日本に住んでいて、相続人の方が日本国籍は有しているけれども国外に住んでいる(でもずっとは住んでいない)、というパターンでしょう。

このパターンについては、下記をご覧ください。

想う相続税理士秘書

国外に居住している相続人が取得した相続財産には相続税は課税されない?

そのようなパターンではなく、亡くなった方が日本国籍を有しておらず生前は国外にずっと居住していて、日本国内と国外の両方に財産を所有している、というような場合、相続税の計算はどうなるのでしょうか?

国外財産が相続税の課税対象から除外されるパターンがある

出典:TAINS(相続事例大阪局R050000)(一部抜粋加工)
誤りやすい事例(相続税関係 令和5年版) 大阪国税局資産課税課
(国外財産のみを取得した非居住者がいる場合の課税財産)
【誤った取扱い】
8 米国に居住していた甲(日本国籍なし)が本年4月に死亡し、日本に居住する相続人乙(一時居住者でない)は、甲の米国内の財産を相続により取得した。乙は、米国に居住する相続人丙(日本国籍なし)も甲の米国内の財産を相続により取得していたことから、相続税の申告に当たって丙が取得した財産を含めて相続税の総額を計算した。なお、相続人はこの2人のみであった。
【正しい取扱い】
8 乙は相続税の納税義務者となる(相法1の3①-イ)が、丙は日本国内財産を相続しない限り納税義務者に該当しないことから、相続税の課税財産は、乙が相続により取得した財産のみとなり、当該財産の価額のみをもって相続税の総額の計算をすることとなる(相法2①、11の2、15①、16)。

国内財産に対しては、どのパターンでも、相続税が課税されます。

ただし、相続人の方が「居住制限納税義務者」「非居住制限納税義務者」に該当する場合には、国内財産に対してのみ、相続税が課税されます。

上記の丙さんは、非居住制限納税義務者に該当し、国内財産を相続していないため、相続税の納税義務者ではない、ということになります。

相続税の非課税枠の計算上は相続人としてカウントできる

なお、基礎控除は相続人が2名であるため4,200万円となる。

丙さんが相続税の納税義務者ではなく、日本国籍を有しておらず、また、国外に居住していても、相続税の非課税枠(「遺産に係る基礎控除額」)の計算上は、相続人(法定相続人)としてカウントすることができます(死亡保険金の非課税限度額等も同様)。

想う相続税理士

それが国外に所在する財産だとしても、財産を相続しているのに相続税の納税義務者とはならない、となると、法定相続人としてカウントできないのではないか、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありませんので、ご注意を。