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相続税の申告において比準要素数1の会社の株式はどう評価する?

相続税専門税理士の富山です。

取引相場のない株式の評価における比準要素数1の会社とは?

上記の記事では、「比準要素数1の会社」の株式に該当するかどうかの判断上の注意点について、お話しました。

今回は、実際に同族会社の株式等の非上場株式が「比準要素数1の会社」の株式に該当した場合に、どのように評価するか、ということについて、お話します。

財産評価基本通達には次のように定められています。

想う相続税理士秘書

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
189-2 比準要素数1の会社の株式の評価
189《特定の評価会社の株式》の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の価額は、185《純資産価額》の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する(この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が比準要素数1の会社の185《純資産価額》のただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには、同項の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。)。ただし、上記の比準要素数1の会社の株式の価額は、納税義務者の選択により、Lを0.25として、179《取引相場のない株式の評価の原則》の(2)の算式により計算した金額によって評価することができる(この場合における当該算式中の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、本項本文かっこ書と同様とする。)。


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原則として純資産価額により評価する

「取引相場のない株式(非上場株式)の評価の『原則』」(財産評価基本通達179)としては、「配当」「利益」「純資産」をベースに上場企業の株式と比較して算出する「類似業種比準価額」と、会社の清算価値をベースに算出する「純資産価額」をミックスして株式の評価額を計算します。

ただし、上場企業は、純資産がマイナス(債務超過)になることが難しく(上場維持基準に抵触)、また、利益を出して配当を出さないと株主に見捨てられてしまいます。

「配当」「利益」「純資産」のどれか2つがゼロの会社(比準要素数1の会社)の株式を、そのような(ゼロがなかなか許されない)上場株式と比較して評価するのはオカシイので、比準要素数1の会社の株式については、原則として純資産価額で評価することになります。

株主グループの議決権割合が50%以下だと2割引き評価

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
185 純資産価額
ただし、179《取引相場のない株式の評価の原則》の(2)の算式及び(3)の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、株式の取得者とその同族関係者(188《同族株主以外の株主等が取得した株式》の(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100分の80を乗じて計算した金額とする

その株式を相続で取得した方の株主グループの議決権割合が50%以下である場合には、純資産価額を2割引きで計算することができます。

実際には事業を行っていてるから清算中の会社じゃない

「純資産価額」は、会社の清算価値をベースに算出する、とお話しました。

いくら「配当」「利益」「純資産」のどれか2つがゼロとはいえ、事業を継続している会社の株式を清算価値(だけ)をベースに評価するのはオカシイですから、
類似業種比準価額×25%+純資産価額×75%
で評価してもいい(選択可)、ということになっています。

想う相続税理士

「類似業種比準価額×25%+純資産価額×75%」で計算する場合でも、株主グループの議決権割合が50%以下であれば、純資産価額は2割引き評価が可能です。