相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告における「無道路地」について、お話します。
無道路地は原則として道路に接していない宅地
相続税申告における土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」があります。
路線価方式は、路線価が定められている地域(路線価地域)で採用する評価方法で、各路線(道路)ごとに、その路線に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(それが路線価)が定められています。
ですから、その各路線に面する(接する)土地については、その路線価をベースに評価する、ということになります。
しかし、路線価地域の土地が、すべて道路(路線)に接しているワケではありません。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4620 無道路地の評価
無道路地とは、道路に接していない宅地をいいます。
そのような、道路に接していない土地を、無道路地と言います。
道路に接していても無道路地に該当する場合がある
上記の「道路」とは、建築基準法上の道路です。
道に接していても、その道が建築基準法上の道路でない場合には、道路に接していないことになるため、無道路地に該当します。
建築基準法上の道路ではないのに、路線価が設定されている場合があります。
そのような道にのみ接しているような場合には、原則として無道路地に該当します。
また、実は、上記のタックスアンサーの「道路に接していない宅地」には、
(接道義務(注)を満たしていない宅地を含みます。)
(注)「接道義務」とは、建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件です。
というカッコ書き及び注書きがあります。
建築基準法上の道路に接していても、接道義務を満たしていなければ、無道路地に該当します。
道路に接していなくても無道路地に該当しない場合がある
上記のタックスアンサーには、次のような「なお書き」があります。
なお、他人の土地に囲まれていても、その他人の土地に通行の用に供する権利を設定している場合は、無道路地の評価の対象となる宅地には該当しません。
道路に接していなくても、道路との間の他人の土地に通行地役権や賃借権等の権利を設定している場合には、無道路地に該当しません。
また、道路との間の土地が相続人の土地である場合も、無道路地に該当しません。
無道路地の評価額は、「仮の通路開設費用相当額」(最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額)を控除して計算するのですが、自分の土地だったり他人の土地だったとしても権利を設定しているのであれば、通路を開設する必要がないからです。
さらに、建築基準法上の道路に接していなくても、建築基準法第43条2項の認定・許可により、建物の建築ができる場合には、無道路地には該当しません。
想う相続税理士