相続税専門税理士の富山です。
今回は、社長などの役員が自分の会社の土地を借りるようなケース(「地主:会社」・「借地人:個人」のパターン)における注意点について、お話します。
土地を借りるということはどういうこと?
「土地を借りる際には権利金を支払うことが慣行となっている」地域において、そんな慣行を無視して権利金を支払わずに土地を借りたら、どうなるでしょうか?
土地を借りる場合には、通常、最初に権利金を支払い、その後、毎月地代を支払います。
この「権利金」は、ザックリ言うと、借地人としての強い権利を得るための対価です。
その土地を横から見て、上下に切って、その上の部分を、権利金を支払って買うような感じです。
この上の部分を「借地権」と言います。
毎月の地代は、その下の部分(「底地権」)に対して賃借料として支払う対価です。
権利金を支払うだけではなく、地主が持っている部分(下の部分)に対して地代を支払うことにより、その土地全体を借りることができるのです。
権利金を支払わないということはどういうこと?
上記でお話したように、権利金は借地権の対価です。
権利金を支払わずに、土地を借りている、ということは、借地権をタダでゲットした、ということになります。
つまり、「借地権を贈与により取得した」ものとみなされます。
贈与により取得しても贈与税は課税されない
相手が会社の場合、贈与を受けても贈与税の課税対象にはなりません。
「贈与税は非課税」と規定されているからです。
相続税法(一部抜粋)
第21条の3 贈与税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
一 法人からの贈与により取得した財産
その代わり、その借地人には所得税が課税されます。
通常は「一時所得」になるのですが、その借地人が地主会社の役員や従業員である場合、これらの方はいつも会社から給与をもらっています。
借地人と地主の関係から、この借地権も給与(「給与所得」)として課税されます。
つまり、会社から源泉所得税を徴収されることになります。
想う相続税理士