帰省時、おばあちゃんにお年玉もらった。米寿のお祝いだったけど、今年は孫にも子にも曾孫にも大金配っていて、相続税取られる前に配っとくからな!っていう意気込みを感じました。おばあちゃんは株で儲けているので
— ハカダラナ (@hrdknhrdkn) January 3, 2019
相続税専門税理士の富山です。
今回は、お年玉・お盆玉にかかる税金について、お話します。
お年玉をもらって贈与税を気にされる方はいらっしゃいますでしょうか?
そんなこと考えず、もらって嬉しい、で終わるのが普通だと思います。
税金に詳しい方だと、「110万円以内だから大丈夫かな」なんて思うかもしれません。
暦年課税贈与における非課税枠が110万円だからです。
お年玉には贈与税がかからない
国税庁のホームページを見てみます。
参考 No.4405 贈与税がかからない場合国税庁No.4405 贈与税がかからない場合(一部抜粋)
次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。
8 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
通常のお年玉は、この「年末年始の贈答」に該当するものと思われます。
つまり、贈与税がかからない、ということです。
お年玉ならいくらもらっても非課税というワケではない
上記の文章中に気になる文言があったのではないかと思います。
「社会通念上相当と認められるもの」です。
普通に贈与をすると贈与税がかかってしまうからといって、それをお年玉としてあげれば、いくらでも非課税として認められるかというと、そんなことはない、ということです。
相続税対策の贈与は3年以内加算を見据えてやる必要がある
冒頭のツイッターには「大金配っていて」と書いてあります。
どれくらいの大金か分かりませんが、相続税対策でおばあちゃんがお金を配っている感じだった、ということです。
その金額が、社会通念上相当と認められる金額を超えていて、贈与税がかかると仮定します。
この場合、そのお年玉をもらったそれぞれの親族が、おばあちゃんからもらったお年玉も含めて、その年にもらった財産の金額が110万円以下であれば、暦年課税贈与の非課税枠内の贈与となるため、通常は贈与税の心配をしなくて済む、ということになります。
しかし、相続税対策としてやるのであれば、「誰に財産をあげるか」に留意する必要があります。
相続が発生し、相続により財産を取得した方が、その亡くなった方から3年以内に贈与を受けている場合、その贈与財産は、相続税の課税対象となります。
「亡くなりそうだから前もって財産を贈与で移転しておき、相続税がかからないようにする」というのを阻止する税務署の狙いがあります。
親が子供に財産を贈与し、親が3年以内に亡くなった場合、その後、子供が親の財産を相続した場合には、その3年以内に贈与を受けた財産も相続税の対象になる、というワケです。
通常、孫は財産を相続しませんので(遺言や養子縁組をした場合や代襲相続人になった場合などを除く)、孫に財産を贈与すれば、3年以内に亡くなったとしても、その贈与財産には相続税はかかりません。
子供でも、親の相続により財産を取得しなければ、3年以内の贈与財産に相続税は課税されません。
実際にはあんまり聞かない「お盆玉」
「お年玉」と似たもので、ちょっと前に「お盆玉」(お年玉のお盆に渡すバージョン)というものが話題となり、郵便局でも「お盆玉袋」が販売されています。
この「お盆玉」って、一般的になっているんでしょうか?
私の周りでは、話は聞きません。
この「お盆玉」には贈与税がかかるのでしょうか?
相続税基本通達を見てみます。
相続税法基本通達21の3-9 社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。
「社交上の必要によるもの」か、「社会通念上相当と認められる」かは、現在の「お盆玉」の普及度・認知度では「✕」になると思います、つまり、非課税の要件を満たさないような気がします。
「お盆玉」を迷惑だと思っている人(親)も多いみたいなので、今後もあまり普及しないのではないか、と思います。
ただし、いろいろな状況下で「お年玉」が渡せなかったから、それを夏に「お盆玉だよ」と言って面白がって渡す、というような場合、そういったものも贈与税の対象になるかというと、そんなことはないと思います。
ただし、お小遣いでも贈与は贈与です。
その上で、110万円の非課税枠が用意されていて、一般的にはお金をもらうと贈与税の対象となっても、ほどんどの場合はその枠内に収まるので、贈与税がかからなくなっているのです。
想う相続税理士